第12話 病室にて
包帯ぐるぐる巻きでベッドから起き上がったメグミちゃんは虚ろな表情を浮かべていた。
すっーと黒が視界に入ってきた
どうだ作戦は順調か?
何のことだか
とぼけてもダメだぜお前にしちゃ素直過ぎるからな
いっただろ?俺とお前は似ているって
なんとなくお前の考えも読めるのさ
じゃあ今話す必要もないでしょ?
まあな、そん時全力を出すだけだ
意外に嫌じゃ無いんじゃない?
そうかもしんない
ふっと黒は消えて部屋のドアがノックされた
どうぞと言われてから入ってきたゴウダ大佐が失礼と言いながらベッド横の椅子に座る
気分はどうだい?
頭がガンガン痛みます。
やはりダメージはあるのか
そうですね
あります
なぜ私を治療したんですか?
君を嫌いになれなくてね
ボッと顔を赤らめる乙女
確か話したね私が守りたいのは誇りだと
その誇りは国民の安全を守る事だと
はい
今君を殺したところで国民の安全を守る事には繋がらない気がしたんだ
へー
やはりまだまだ情報不足だ
ここで君を殺したところで次の対策が打てない、打てなくてももう大丈夫なのかもわからないしな
それに君をここに連れてきたのは我々ではない
それはなんとなく気づいてました
そうかでは我々はやはり命拾いをしたのだろうな
まっすぐな目でメグミちゃんを見つめて力を込めて言葉を発した
今君が頑張っていてくれている間に終わらせる必要があるのだろう?
なんのことですか?
キョトンとした顔で即座に答えたメグミちゃんに毒気を抜かれた抜かれたように
大佐は下を向いた
精密検査を受けてから帰るようにと伝えながら大佐は出て行った
メグミちゃんは涙を流した
ノックもせずに青年がドアを勢いよくあけて
泣いているメグミちゃんには目もくれず自分が成し遂げた偉業だけを見据えて
俺の勝ちだーと叫んでまた勢いよくドアを閉めた
そうだよ順調だよ黒
泣きながら笑顔を作るメグミちゃんは窓のない病室に飾られた富士山の絵を観ながら何かの覚悟を決めたように
私は私を裏切らない、この世界で唯一絶対に私だけは私を裏切らない、そう信じてる
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