第8話 いいわけ
何で私がこんな目に遭わなきゃいけないんだろう
ある日突然現れた巨大な着ぐるみの女性が私の家を踏み潰した
奇跡的に軽傷ですんだ私は病院で診察の順番を待ちながら考えていた
不思議な事にニュースではそのことに触れずスポーツで日本代表が頑張っているニュースをやっていた
身寄りのいない私に見舞いに来る客もない
病院を出るとスーツの男が陽炎のなかに立っていた
少し話がしたいと近くの喫茶店に入った
金を渡されて今回の件は他言無用にしてほしいとお願いされた
一瞬間を置いて答えた
いいですよ
元々話す相手もいないただ金が増えるだけだと思った
家の修理費もこれとは別に出してくれるというし今夜は近くのホテルに泊まろう
家があった場所に行ってみた
スーツの男がやってくれたのか無事な家財道具と財産は既に別の場所に移してあると看板が書いてあった
少し心配だったがとりあえずその場所に行こうとしたとき
目の前の私の家の残骸がまた踏み潰された
オレンジ色の足が何回か踏みつけ
ゆっくりと上がっていった
このあいだはよく見えなかった相手の顔がハッキリみえた
ずいぶん前にいびり倒してやった学生だ
大学教授をやっていたの頃 課題もやらずに何か別のことを調べていた彼女を私は注意した
研究室でも大声で注意した
人前でもどこでも
だって私が正しかったのだから
今踏み潰される私の家をみて思う
私が正しいなんて子供のいいわけだと
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます