1秒が最近短く感じる

向風歩夢

最近、一秒が短く感じる

 最近、時間が過ぎるのが早く感じる。

 気のせいだろうか。

 いや、確信を持って言える。

 昔より、1秒が早く過ぎている。

 デジタル時計の1秒も、アナログ時計の針の動きも昔より早くなっている。


 今もそうだ。ちょっと文章を考えていると、もう10分経とうとしている。間違いない。昔より1秒が早くなっているのだ。主観的には。


 物理世界の1秒は「セシウム133の原子の基底状態の二つの超微細準位の間の遷移に対応する放射の周期の9 192 631 770倍の継続時間である」そうだ。

 何を言っているかわからないと思っただろう。心配するな。私も分からない。ネットから引っ張ってきただけだ。

 ここで私が言いたいのは1秒の長さは客観的には変わっていないらしいということだ。そんなバカな。


 私は確信を持っている。昔より1秒は早くなっている。物理の定義などクソくらえだ。少なくとも私の精神世界では1秒は早くなっているのだ。


 そういえば、老人と子供では時間の体感速度が変わるとか言っていた。これもどこかのネット記事で見た情報だ。80歳生きた老人の1年は80分の1だが、5歳の子供の1年は5分の1だから老人は時間を早く感じるんだ、とかいう理論だった。


 私はこの理論に懐疑的だ。この考え方で行くと、1歳の頃の1年の体感長さを100とすると、10才の頃には1年の体感長さは100÷10で10、20歳の頃には100÷20で5ということになる。10歳と20歳で2倍も早くなるっていうのか!? さすがにウソだろ。そんなに早くなったとは到底思えん。前提の計算式が間違ってるというなら、ご教示願いたい。(まあ、この理論でも成り立つ式を私は知っているが、私の主張と異なるのであえて触れない。ずるい奴だと思ってもらって構わない)


 私はこう思うのだ。我々が歳を取って1秒が、時間が早く感じるようになるのは、脳が劣化しているからなのだと。パソコンだってそうだろ? 古いパソコンはどんどん重くなって処理速度が遅くなる。新しいパソコンはさくさく動く。

 脳の処理速度が落ちているから、1秒が早く感じるのだ。


 だが、人間は愚かだから自分の脳みそが劣化しているなど夢にも思わないのだ。だから、時間が早く過ぎたなどといううわごとを抜かすのだ。この考えだと私の脳みそは劣化を始めていることになるな。くわばらくわばら。


 脳の処理速度の低下を防がなければ、これからの一生、あっという間に時間は過ぎ去り気づいたら死んでるなんてことになりかねない。それは嫌だから脳の劣化を抑えることが重要だな。だから、私はしょうもない小説をこれからも書き続けよう。思考することは脳の劣化を防ぐはずだ。知らんけど。


 もう30分経ってしまった。こんな駄文を書くのに30分。元々脳の処理速度が生来から人より遅い私は書くスピードも遅いのだ。全く嫌になる。


 今日は書き疲れた。疲れたらすぐ寝るに限る。そう1秒でも早くな。


 

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