CUT~今日も彼女のカウンセリング中~

若葉 おれんじ

第1話

俺、糸神愛輝は、残念ながら何のとりえもない男子高校生だ。友人曰く、『おまえの長所はその平凡さ』らしい。それって長所なのか?そんな俺にとって、『自分の長所について』なんて作文は書くことがなさすぎる。古町←担任!お前もないだろう!なのになぜお前はこんなお題を出すんだ!第一長所なんて発表しあってどうすんだか。自慢大会でもすんのか?

「書けました~」

そんな俺の愚痴をぶち破るように、1人の女子が声をあげた。

「お、書けたか。じゃあ、新原、発表してくれ。」

はーい、と言いながら教卓の前に出てきたのは新原菜穂。友人曰く、学校1の美少女。性格もよさそうだし、彼女のことが嫌いな人なんていないだろう。

「私の長所は、積極的なところだと思います_」

2分弱で終わった彼女のスピーチは、所々笑えて、嫌みもなく、おもしろい、素晴らしいスピーチだった。こいつの後で発表するやつがかわいそうだな。

そんなこんなで、今日も彼女は完璧な人気者だった。

そして翌日。俺は席替えでクラス中の男子から憎まれる席になってしまったのだ。

「よろしくねー」

といつも通りの笑顔で言ってくる彼女。そう!新原さんの隣りに!

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