第28話 ゲーム過去編「女子会2」

「うちの男たちって、女性に対してガサツ過ぎない?」


ここは、眠れぬ教会のギルドルーム。

黒き戦士たちのカザミが、言った。


「そうですか?紳士な方ばかりで、皆に好評ですよ?」

眠れぬ教会の副GMの一人が言った。

副GMと言っても、現在はGM一人と副GM五人の6名のギルメンしか居ない。


「ということは、私たちギルメンにガサツって事か。」


「しょうがないでしょ?私たち昔は男キャラだったし。」

そう答えたのは、黒き戦士たちのアスナだった。


「お二人とも男キャラでやってたんですの?」

サーラントが聞いた。


「まあねえ。昔のオンラインゲームってさ、男が女キャラやるのも多かったけど、女性が男キャラってのも多かったのよ。」


「そういうものですの?」


「まあ、VR機と違って、平気で性別偽れるからねえ。」


「そうそう、女キャラ同士で仲良くなって、片方がリアル女性ってわかるとストーカーとか、なったりしてね。」


「ああ、あるねえそういうの。」


「???」


サーラントには、さっぱりわからなかった。


「ゲームキャラに惚れるんですの?」


「みたいよ?」


「サーラちゃんもない?あの人のリアルは、どんな人だろうって、気になる人?」


ふと、サーラントは考えて、一瞬ベルラインの事が思い浮かんだ。


「い、いえ。特には・・・。」


「私も、前のゲームではストーキングされた事があります。」


ルビアが言った。


「ル、ルビアさんも?」

サーラントは、心配そうに聞いた。


「無課金のゲームだったんで、直ぐに辞めちゃいました。」


「それが正解よ。下手に関わると碌なことないからね。」


「そうですよね。」


「教会で気を付けた方がいいのは、サーラちゃんかなあ?」


「そうですね。でも大丈夫です。サーラさんは、私たちが守ります。」

5人の副GMが強く頷いた。


「な・・・。」

サーラントとしては、むしろ自分が守る立場でありたかった。


「でもまあ、このゲームは運営のトップが女性だから、そういった面は、安心かもねえ。」


「運営のトップって女性なんですか?」

ルビアが聞いた。


「βの時にゲームマスター参加のイベントが何度かあってね。チーフって女性が、そういう輩は即排除するって、物凄い剣幕で言ってたわ。」

アスナが答えた。


「ああ、あれねえ。男性陣は、みんな引いてたよね。」


「へえ、βって運営の人も居たんですね。」


「今も居るけどね。」


「ああ、あの人ね・・・。」


「えっ、運営の人が居るんですか?」


「運営の人というか、元ゲームマスターの一人かな。」


「そんな人が?」


「サーラちゃんの方が詳しいんじゃない?」


「へ?そんな人がおりますの?」


「ありゃ?サーラちゃんってカンピオーネと知り合いなんじゃ?」


「カラットさんですか?冒険仲間ではありますが、ゲームマスターでは、なかったですよ?」


「カンピオーネって呼ばれるようになった理由は知ってるよね?」


「ええ、デュエル大会で何度か優勝したからでは?。」


「βの時にね、デュエル大会の優勝者とゲームマスターが戦う余興があったのよ。」


「もしかして、カラットさんが圧勝したとか?」


「そうそう。私たち、ちょうど見に行ってたからねえ。」

カザミが言った。


「ゲームマスターが、正式版始まったら、絶対リベンジしてやるって涙目になってたよね・・・。」

アスナが言った。


「正式版が始まって、デュエル大会ってありましたっけ?」


「2回あったかな。」


「2回ともカラットさんが優勝したと聞いてますの。」


「そうだね。」


「ゲームマスターの人は?」

ルビアが聞いた。


「無冠の帝王って聞いたことない?」


「ああ、あります。マルスって人でしたっけ?」


「そう。β時代は闘神だっけ?(笑)」


「カザミ、笑っちゃ悪いでしょ?w」


「アスナだって、笑ってるじゃん。」


「カラットさんは別格ですの。私、冒険仲間ですが、補助魔法どころか、回復魔法すら掛けれた事がないんですの・・・。」


「えっ・・・。βのドラゴンの時は?」


「勝手に回復してましたわ。」


「全方位のブレスなかったっけ?」


「どうやら、死角があるようで、死角に入ってポーション飲んでました。私は、後衛ですので、行動が全部見えてましたの。」


「すごいなあ。私、3回挑んで3死してるんだけど・・・。」

アタッカーのアスナが言った。


「私たちも、カラットさんとご一緒することがありますが、サーラさんから無視しといていいって言われてるので、無視してます・・・。」


ルビアが言った。


「ガルフがあれは、別格って言ってたくらいだからね。」


「このゲームは、プレイヤースキルの比率が高いからねえ。」


「そうなんですよ。私たちもサーラさんに追いつこうと日々頑張ってます。」


「僧侶も大変よね。うちのボルヴィスなんて、βで即ジョブチェンジだから。」


「えっ、ボルヴィスさんって、僧侶やってたんですか?」


「10年、回復やっといて、無理だからね。」


「アイツさ、女キャラだったしね。」

カザミが言う。


「そうそう、今思うと笑えるよね。」

おっさんくさいボルヴィスの女性キャラがイメージできず、

教会の面々も、可笑しくて笑ってしまった。

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