もう一度あの日の夢を
ホタルイカ
第1話
夢を見ている。
そう認識はしているが、視界がぼんやりとした感覚が付きまとう。
これは明晰夢というやつなのだろう。辺りを見回そうとしたが、思うように動かせない。
そのままぼんやりしていると、男性の声が響いてきた。
「ここは無。始まりにして終わりの場所。個にして全。全ての無意識下の共有意識の中。」
声は辺りに木霊しながら広がっていく。
「新たなる観測者よ。その双眸にて己が望む真実を見極めよ。数多の困難の先にて己が回答を見定めるのだ。」
声はどこまでも響いていく。
広がりゆく声と共に自分自信が溶けていくような感覚を得る。指先からゆっくりと広がっていくように。
どこまでも、どこまでも、どこまでも――
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