鳥居

帰宅後、現代文の授業がふと頭によぎり、近所の神社に行ってみようと思い立ったのがいけなかった。

自転車で数分のところにある近くの神社は、草木が生い茂り、小ぢんまりとして、ここが本当に神が祀られている場所であるのか、疑わしく思えてしまう。神の存在を否定しているのではなく、若気の至りというやつで、単なる好奇心からくる行動だと思う。神社入口の土手辺りに自転車を停め、鳥居の真下に立つ。赤く、多少年季の入った鳥居は3mぐらいの高さで、それほど立派なものでもない。正直な感想だ。神域への玄関といっても、霊感のようなものがさっぱり無い私には全く何も感じられない。鳥居に向き合い一礼する。取り敢えず、習わしには倣いたい。お邪魔しますと、一言心中唱え、一段ずつ石段を上がっていく。そして、闇に包まれた。

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