者張鉄道敷設記

平城山 松前

1ページ目 「ヒト」へのトラウマ

 その噂が博士たちの耳に入るのに時間はかからなかった…


「ヒトが来たのですか!?」

「なんでそんなに驚いてるのさ〜」

「ヒトが来たということは…そろそろ大規模噴火が起こるのです…セルリアンの大量発生が起こるのです…」

「ヒトが来た時で事件が起こらなかったことはなかったのです…」

「多分たまたまだと思うのだ!」

「しかし…ヒトが来たのちのセルリアン大量発生の確率が95%…我々の代はここで終わりなのです…」


 博士たちの焦り顔は今まで見たことがないほどだった。


「そんなこと話してる間に〜本人が来たみたいだよ〜」

「…」

「な、なんか喋るのです!」

「『トモカズ』って知ってますか?」

「『スター危機』を救ったヒトだね〜それがどうしたの〜?」

「僕、その子孫です。」

「えっ」


「「「「ええええええええ!?」」」」


「あいつが誰かと結婚するとか考えられないのです!」

「信じられないのです。証拠を見せるのです。」

「剣術は下手だから…『トモカズ』から受け継いだのはこの『ワザ』しかないか…おい作者!」

「いきなり何言い出すのさ〜?」

【なーにー?どったのー?】

「なんなのだ!この頭の中に直接届く声は!」

「呼んだだけだよ!」

【用事ないなら呼ぶなよ…じゃあの。】

「じゃあの!…というふうに作者を呼び出すことができる。くらいしかないけどいいですかね?」

「じゅ、十分すぎる証拠なのです。」

「信じるのです。」


 博士たちはやっと落ち着いたようだ。


「ところで、なぜ来たのですか?」

「この島に鉄道を敷きに来ました。国からは許可をもらっているのですが、こちらにも長がいるらしいから話しておこうと思いまして。」

「だってさ〜」

「なるほど。つまり我々に会いに来たということなのですね。」

「どうも、この島の長を務める博士のアフリカオオコノハズクです。」

「同じくこの島の長を務める助手のワシミミズクです。」

「自己紹介がまだでしたね。僕は中村橋 富雄。トミオと呼んでください。」


 博士たちには気がかりなことがあるようだ。


「トミオ、早速ですが『てつどう』は主に『てつ』と呼ばれるもので作られるのですよね?」

「鉄…というか金属だね。」

「その『きんぞく』とやらは『むきぶつ』と呼ばれる種類に入るのですか?」

「そうだね。」

「『むきぶつ』にもしサンドスターが当たるとどうなるか知っているのですか?」

「セルリアンが生まれるんだったよね。一応対策は取ってるよ。」

「ど、どうやったのですか…?」


「あんな目がキラキラした博士たち、食べ物の前以外で初めて見たのだ!」

「少し静かにしてようかアライさ〜ん?」


「いつできたか分からないんだけど、サンドスターを運ぶ用のパイプが海底を通ってて、途中でちゃんとフィルターも張ってあるらしくて僕が出発した不離からず市という所に噴出しててね。」

「あれ〜?そのパイプって〜たぶん『むきぶつ』だよね?なんでサンドスターと接してるのにセルリアンにならないの〜?」

「そのパイプの構造を見てみたら薄くサンドスターがコーティングされてて。『液体のサンドスターが運動エネルギーを持っている状態』で色々な生物や物とぶつかると反応するでしょ?そこで実験をしたんだ。もし液体のサンドスターが『運動エネルギーを持たない状態』で物と接するとどうなるのか。結果は『全く反応しなかった』。たぶんその性質を利用しているんだと思われるんだ。」


「う〜ん…よく分からないのだ!」

「アライさんにわかりやすく言うと〜、例えば片方のフレンズが走っててもう片方のフレンズにぶつかっちゃった時に〜謝らないとどうなっちゃうかな〜?」

「もちろんぶつかられたフレンズは怒るのだ!」

「それが『はんのうする』っていうことなんじゃないかな〜」

「それなら走るのをやめさせなければいけないのだ!」

「ほぅ、しかしパイプをコーティングしたところで通るサンドスターは動いていて止めることができないのです。アライグマにしてはいい着眼点なのです。どこかに頭をぶつけたのですか?」

「アライさんはな、毎日頭をぶつけているのだ!」

「たぶんそういうことじゃないと思うよアライさ〜ん?」

「ふぇ?」


「話を戻すけど、もう1つ実験をしたんだ。サンドスターでコーティングした無機物にサンドスターをぶつるとどうなるのか。結果はやはりこちらも『全く反応しなかった』。どうやらコーティングしたサンドスターがクッションの役割を果たしてるらしいんだ。」

「なるほど、それを『てつどう』に応用するのですね。」

「鉄道を作るときにコーティングするために使うサンドスターはこちらで用意するから生活に支障は出ないよ。安心して。」

「あれ?博士、あの火山から通常時出ているサンドスターは『きたい』なのです。」

「そうですね、助手。『えきたい』のサンドスターは取れないのです。どうやって『えきたい』のサンドスターを得るのですか?」

「今さっき話したパイプから出てきているサンドスターは液体で。サンドスターの山の上より不離市の方が低温で高圧だからかな?」

「安全性は保証できそうですね。許可してやるのです。」

「ほかのフレンズ化してない動物たちの安全性も考えて、線路とそれ以外のところの境は柵を建てさせてもらうね。あとホームドアもつけて…踏切は音でわかるか…」

「わかったのです。また何かあったら我々にいうのですよ。」

「うん。」

「じゃあ、博士たちまたね〜」

「帰り道気をつけるのですよ!」

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