ヒーロー(について)インタビュー ⑥




 人は影響し合うものだ。


 誰かから、何かから影響を受けて、誰かに対して影響を与えている。

 いつもどこかで、そういう風に関わり合って、人はそれぞれの場所で生き、それぞれの道を歩んでいく。

 その道はときどき交差し、たびたび並んで伸びていくものだ。

 それが人生という道だ。


 小さなこともあれば、人生を変えてしまうほど大きな影響を与え合うこともある。

 そんな不意の出会い、思いがけない出来事に満ちあふれているのが世界だ。


 たとえば、読んだ漫画に影響されて、サッカー選手を目指す人がいる。

 アニメの影響で、ロボット工学の道に進む人がいる。

 海外から日本へやって来る人、またその逆。

 何か影響されるものがあって、強いあこがれと熱意を原動力に、その思いひとつで海をも越えてしまう人がいる。


 事の大小はさておき、そういうことは誰しもあるだろう。

 それが、自分の中で一時的なブームで終わることもあれば、一生ものの影響力となることもあって。


 その力の大きさは、何で変わるものなのだろう?


 影響を与える側の、功績の大きさだろうか。

 コンテンツの中身のおもしろさ? 

 声の大きさ、認知度の高さでの変わるだろうか。


 それとも、それは全部受け取る相手次第なのだろうか。


 それじゃあ、イバライガーはどうなんだろう?


 イバライガーに出会って、影響を受けた人がたくさんいる。


 助けてもらった分助けたいと、ショーに来てくれたおばさんは言っていた。

 助けてあげなきゃいけないんじゃないかと思ったと、マキさんは言っていた。

 イバライガーの言葉が響いた、気づかせてくれたと、タケさんは言っていた。

 陽太ようたくんも変われた。

 その陽太くんの行動で、クラスの子たちも変われた。


 全部イバライガーのおかげだ。

 イバライガーにみんな影響を受けて、変わった。


 そのイバライガーの影響力の源にあるのは何だろう。


 ヒーローだから? 

 かっこいいから?


 僕は思う。


 イバライガーはショーの中で言う。

「人を思いやる気持ちを大切にしよう」

「勇気を持って行動しよう」

「人を信じる」

「決してあきらめない」

……その言葉の一つ一つが、はっきりと僕の心に響く。


 イバライガーの言葉は、ただの台詞じゃない。

 イバライガーの言葉は、ただの劇中の台詞、ヒーローの決まり文句なのじゃない。


 イバライガーの言葉は、現実にそれを実行し、実現させている人の語る言葉だからこそ、それを聞く人の心に響くんだ。


 自分が苦しいときにも、助けを求める人たちのところへ一番に駆けつける。

 そういう、本物のヒーローだからこそ、彼の言葉はみんなに届く。

 彼の行動はみんなに強い影響を与えてくれる。


 きれい事を愚直に実行させる。

 理想に向かって真っ直ぐに駆け抜ける。


 それがイバライガーだから、そんなイバライガーだから。

 だから、みんな彼に惹かれる。

 彼について行きたいと思う。

 彼と一緒に戦いたいと思う。


 本当の、ヒーローだから。


 そう、僕は思う。


 僕もイバライガーのようになりたい。

 イバライガーのようになってみせなきゃいけない。


 今、僕はいつかの僕に言ってやりたくて仕方ない。

 子供の頃の僕。

 ヒーローになりたいという気持ちを冷ましてしまったときの僕に。


 ヒーローはいる。

 僕と同じ世界に、同じところに立って、存在している。

 ヒーローは決して、テレビの中にしか存在しない虚構の人物などではないんだ。

 ヒーローは確かに生きて、僕らと同じに存在している。


 だからあきらめなくていい。

 あきらめるな。

 ヒーローになることをあきらめるな。

 ヒーローにあこがれる気持ちをあきらめるな。

 ヒーローのことが好きだという思いをあきらめるな。


 あきらめずにいれば、もしかしたら僕は、もっと早くにイバライガーに出会っていたかもしれない。

 出会えていたかもしれない。


 そう思うと、つい、僕も時空跳躍ができたらなぁ……なんてことを妄想してしまう。

 子供の頃の自分の元へ跳んでいって、イバライガーのことをこれでもかと語って聞かせてやるのに。

 それか、子供の僕を今ここに引っぱってきて、イバライガーに会わせてやるのに。


 そんなことを考えてしまうくらい、僕はもうすっかりイバライガーに惚れ込んでしまっているんだ。


 僕は本当に、イバライガーのことが好きなんだ。


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