このティッシュ 水に流せます

いいとよ

プロローグ

20年と数ヶ月。

社会を生きる多くの人間にとっては短いらしい私の生涯で一番後悔したことを挙げろと言われれば、迷わず私は『ティッシュを受け取ったこと』と答えるだろう。

あの日、あの時。過去を振り返ると私には後悔しかない。

なにせこの日記を記したあの時の私ですら過去を思い悩み、後悔で心が押し潰されそうだと嘆いているのだから、つくづく自分はどうしようもない。

「はは……」

ただ、間違えには教訓がある。

後悔はいつしか笑い話に変わる。

久しぶりに開けたダンボールから出てきた中学生時代の日記をめくりながら、私はこの素晴らしく悲観的な筆者に向けてそう呟いた。


これは、そんな私の物語。

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