第100話 狂戦鬼の正体

一刀の指し示した妖魔は青双角オーガであった。だが、敢えてコピー・・・と表現した事には意味がある筈だ。

ノリトは一刀が語るその内容を予想していた。

だが、辿り着く答えは最悪である。


コピー・・・と言われましたが、もしや遺伝子操作による生命の創造では? 」

ノリトは一刀達の居た地球も自分達の世界と同様に高度な文明が栄え、科学技術も似た世界だと考えていた。そのため敢えて自分達が普通に使う言葉で質問をしたのだ。

一刀はノリトの言葉に頷くと口を開いた。

「元々の悪鬼が何モノであったのかは判りませぬが、少なくとも自然発生した生物では無い、そう断言できる。 様々な装置と大型の特殊容器を使い生み出されたそれ・・には自我の様なものは存在しせず、唯の器・・・であり生きた鎧であった。 生体の維持しか出来ぬ様に調整された脳、体内に人が乗り込み操作を行なう…… その接続には不思議な技術を用いていた 」

ノリトの予想は当たった。何者かが…… 、この世界には無い科学技術を持った世界から来た者が他にも居る。しかも、自分達と同等の科学力を有していると考えた方が妥当だと思われた。もしかしたら、同じ世界から来たのかも知れない。

だが、最悪のケースは自分達以上の科学力を有した相手だった場合だ。

今のままでは情報が少なすぎる、やはり半蔵を一刀殿の元へ預け調査に協力する必要性を感じる。そして、一刀が発した最後の言葉に嫌な予感がした。


一刀は続ける。

狂戦鬼バーサーカーの元となる悪鬼は…… 恐らくだが、青双角オーガ近似種コピーだと思って間違いない。 だが、記載された体長とは差異が大きく八メートルであった。」

「八メートル…… 明らかに戦闘対象は神聖なる駆動体アルカナ・エンジンだと捉えて問題無いですね 」

ノリトはゲオルグ達の居る方へ視線を向け、一刀へと向きなおる。

「これより先の話は、陛下ゲオルグを交えてお願いしたいのですが、宜しいでしょうか? それと…… 」

ノリトは一度言葉を切り、闘技場の外へと視線を向けると、一刀へ質問をした。

「外に居るお仲間はニ名でしょうか? 二人は陛下の手勢でしょうが、一名は挙動が可怪しいのですよ 」

「いや、仰る通り二名は我が配下。しかし、その一名は我が手の者では無い。 恐らくは…… 」

二人は外へと視線を向けると頷いた!

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