第43話 ベットへと歩み寄ると、彼女を優しく抱き上げた!

 ノリトは後ろに居る皆に振り向く事もせず、言葉を告げる。

「普通なら……、ここまで重度の被爆だと完治は絶望的です。

しかし…… まだ間に合う!

いや…… 間に合わせます! 」

これは…… 赦せんな!


ノリトは憤っていた! 

フローラの余りの姿に、この結果を招いた者達を赦せないと!


「フローラ様、失礼いたします 」

ノリトはフローラの眠るベットへと静かに歩み寄ると、彼女を優しく抱き上げた!


 その行動に、意識のあるか無いかも判らぬ状態だったフローラが反応をした!?

ノリトの顔を伺う…… 窪んだ瞳を見開き、掠れた声で必死に呟く、

ヴぁ…… ヴぁ、なぁだぁぁあなた!? びゃぁどぉやっと……ぶぅばぁえびぃむかえに……

ぎぃでぇぐでぇだぁのべぇきてくれたのね…… ぶぅでぇしいばぁうれしいわ……

びゃぁどぉやっと…… びゃぁどぉぉやっと…… 

わたしは、しねるのね 』

最後の言葉のみ鮮明に聞き取れた! 

その言葉に、更なる怒りが湧く! 赦せん!


「ミオ! 時間が無い…… は先に行く 」

そう言うと、ノリトは部屋の外へと静かに歩き出す。

バラ園を望むバルコニーへとフローラを抱きながら。


バルコニーへと向かうノリトに呆気に取られる四人。


「騎装、 フロートバインダー 」

虚空より三対六枚の銀翼が発現し、ノリトはフローラを抱いたまま蒼く清む空へと、ふわりと舞い上がった!


ゆっくりと、重力から解き放たれ空を舞うように滑りながら二人はバラ園へと向かう。

びゅヴぇのびょぉゆめのよう…… ヴぁなだぁどぉあなたとびょばぼぉヴょぶぅべびヴぅぼヴぇそらをとんでいるのね 』


空へと舞い上がる二人を眺め、ミオがゲオルグ達へと告げる。

「ノリト、かなり怒ってますね。 私達も医療ユニットへと急ぎましょう! 」


『怒っている? 』


「ええ…… かなり怒ってます。 私達も急ぎましょう 」


青空に踊る二人の姿は、まるで天使に抱かれた王女のように見えた。

少なくともシャルルとアルフォンスにはそう見えていた。

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