第4話 俺の異世界無双は・・・?
「あ、言って無かったっけ?」
ついさきほどまでのとんでもないスピードから、地球一般的のジョギングのスピードへ落としたアクリがきょとんとした顔で俺の方を向いてくる。
「うん。言って無いねぇ、はい」
「ずいぶん怜雄くん冷めちゃってるわねぇ~」
「いや、その顔と言い、口調と言いそこそこ気持ち悪い。とっとと説明してくれや」
「理由2つあるんだな。まぁ、若干つながってるんだけどね。それはとりあえず置いておいて……。ステータス数値が並んでるのが、いわゆるホーム画面ってやつかな。そこには簡略的なステータスしか載ってないんだ。左側にいくつか丸いボタンがあるだろ?その一番上に矢印がある。その矢印をタッチしてみ?」
「ほうほう、これか」
矢印をタッチすると、丸いボタンの横に文字が出てきた。
「文字出てきたけど、ステータスってやつでいいのか? それっと」
俺はそこをアクリの答えを待つことなくタッチした。
「そうそう。そこにさっきのステータスに追加していろんなのがあるでしょ。その中に魔法適性と剣適性っていうステータス項目があるはずなんだけど、そこの数値を読み上げてみてよ」
アクリは自分のステータスを操作している。
ステータス、ステータスと言っていたが、さっき開いた画面(?)にはステータス以外にも「持ち物」「フレンド」「クエスト」「マップ」などという文字もあった。正式名称を後でアクリに聞かなくてはいけないな、と頭の片隅にメモをしつつ、数字を読み上げた。
「魔法適性が6で、剣適性は20だよ。ナニコレ! 異世界無双できちゃう数字なんだよね? 勝ち組?」
俺は悟った。口では異世界無双を期待はしてみたもののおかしい。どう考えてもおかしい。両方無双できることを連想できるような数値ではない。
「そこの数値ね、僕は魔法適性4900、剣適性は6730って書いてあるんだ。さらにその下の上昇指数っていうやつ読み上げて」
嘘だろ。おかしい。俺は弱体化のポーションでも常時使用していて、時が来れば真の力を解放できるんじゃないのか? そうであってくれ。
もしくはアクリが異様に大きい数値の持ち主ということで、俺は平均値なのか?
せめて、それくらいであってほしい。そんな願いを込めて上昇指数を読んだ。
「魔法93500、剣90000になってる。今度こそ異世界無双だろ?! これは?!」
先ほどと違って数値が大きい。だが、言葉は、表面は、取り繕ってるだけだ。「上昇指数」とあるだけあってステータスの上昇のしやすさだろう。
「僕の場合は魔法5000、剣3800になってるんだ。」
「ったく、そんな顔しやがって。一体何が言いたい? 先に用語の説明をしてくれなきゃ分からないだろ?」
俺は若干悲しそう顔をしているアクリに尋ねた。アクリはまた地面に転がってた石を蹴り始めた。アクリには石を蹴る癖があるのだろうか。
「そうだね! ごめんごめん! ───よし! 適性は読んで字のごとく適性がどれぐらいあるかなんだ。魔法適性の場合どれだけ高度な魔法が使えるかを示すんだ。剣適性の場合・・・・そうだな。説明が難しいなぁ。じゃあこれ見てみて」
アクリがステータス──正式名称は分からないからとりあえず正式名称がわかるまでそう呼ぶことにしよう──を操作して全体的に真っ白な剣を実体化させた。
「それをタッチしてみて」
俺は言われたとおりにおそるおそる剣をタッチする。すると、『ホワイティング・ヴォルガー 必要適性3500』となどと表示された。ほかにも説明を表示しそう
なボタンがあるが、ここは無視をする。
「あ、それ下に手を振ると消えるよ。んで、これはいつも僕が装備している剣なんだけど、その必要適性が高いほど基本的に強い武器なんだ。んで、武器によっては必殺技的なのが設定されてるんだよ……って、この話は学院行って学んでもらおうかな。じゃあ、次は持ち上げてみて」
学院というワードが気になったが、ここで話を折るわけにはいかない。後で聞くとしてここは流しておこう。
剣を持ち上げると、その見た目からは想像できないほどずっしりと重かった。これをアクリは装備しているのか。ということは、肩にかけるなんなりして、持ち運び、ゲームのように敵が現れたら振り回すのか。この感じからすると俺は膝上くらいがが限界だ。
この重いと感じる感覚は適性の数値から来ているのか、それともステータス的な問題からなのか。
「重いでしょ? 怜雄君は
「うん。ずっしりと重いけど何とか……。でも、これが限界かなっ……! ごめん、落とす!」
俺はその剣の重さに耐えきれずに落としてしまった。こんなものを振り回すことができる奴がいるのか。
「そいっと。君がこれを持ち上げられただけでもすごいよ。んで、話を戻すけど、君はこれで戦えと言われたら無理だろう? 僕も自分の適性より3000も高い武器を持って戦えと言われたら100パーセント無理って言えるよ」
「あぁ、無理だ。ってことは、つまり適性が高ければ高いほど強い剣を扱えるってことなのか?」
俺はアクリが伝えたいことがなんとなく見えてきた。
「そうそう。上昇指数は君が想像していることで間違いないと思うんだなぁ。どう思ってる?」
なんだ、この急に教師に指名された緊張感は。教師に急に指名されると、あってるだろうという確信があっても心配になるやつだ。
「えぇと、そのステータスがどれだけ上がりやすいか的なことかな……?」
「正解、正解。大せいかーい!!」
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