ロクト=ムラマサ

ゲーセン店員 ヤツカ。

序 「西園寺 小角の口述」

悪夢。

後の覚醒も含め…。


其の後先、残悔の弦に絡め取られるは、自ら背負った宿命と据えた。


「雪」。其方が、意図せんとした事も、何時しか越えて…。


「私は、今、黒い鮮血を浴びている。」


そして、未だ、時に惑うのだ…。

やはり、「あの時」、只、祈っているべきだったのではないか…。と。


眼前で、次々に喰い千切られゆく「人だった」者達の為を思えばこそ。


だが、選んだ道は、といえば…。


何か確証があった訳ではない。


然らば、どうすれば良かった?


震える脚に、如何程の走力が残されているか。


追い縋り、張り付く、魑魅魍魎を、今一度、剥ぎ取り、退ける、膂力があるか。


あの間隙。

心を、思考を、そればかりに支配されていた者に何が出来た?


その時節において、導いたのは、神仏の類では無くなったのだ…。


それ以来、翻ってからも、「加護」も「庇護」も、受けぬ私の「刃」は…。


「決意」「覚悟」、無慈悲であれと…。

それに、わずかばかりの知恵と…。


そして、それらが連環した先に手にした光。


結局のところ、私の戦いを根幹で支えたのは、後に残った、天運の残渣だった…。

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