春を見つけに

高瀬千景

約束

 雪にすっぽりと覆われた地帯に、久しぶりに温かな陽射しが差し込みました。


 雲の切れ間から顔を覗かせた太陽が、みんなを笑顔にしてくれます。


 それから、ニコニコの太陽は温かく大地を包み、雪を溶かしていきました。


 もうすぐ、春がやって来る!


 あやちゃんと、あっくんは、楽しみでたまりません。


 そうして太陽は、雪を溶かしてくれました。


 雪の下で眠っていた大地が、目を覚まします。


「ねぇ、おかあさん? まだなの?」


 あやちゃんは、お母さんのエプロンを引っ張って、跳びはねながら尋ねます。


「そうねぇ…。今日は天気もいいし、お散歩に行きましょうか?」


 お母さんは、優しく微笑みながら言いました。


『温かくなったら、三人で手をつないで、お散歩に行こうね!』


 雪の降る寒い日に、外で遊びたいと駄々をこねる、あやちゃんと、あっくんに、お母さんはそう約束していたのです。


 その約束をあやちゃんと、あっくんは、きちんと覚えていたのでした。


「やったぁー」


 そう叫ぶと、ふたりは外に飛び出しました。


「ちょっと待って!」


 お母さんが、その後を追いかけます。


 一歩外に出ると、春の柔らかな陽射しが頭上に降り注ぎます。


 空を見上げると、お日様がニコッと微笑んでくれました。

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