第13話 ラグナリアのウルファ
「壮太はどうだ」
「ギリギリ合格。精神性はまあまあ良いけど、戦闘力は期待薄だよ」
「わかっている。ウルファに納得してもらうのが目的だからな」
淡く輝く人型の何かとヘイゼルさんが話している。俺の事をテストでもしたのだろうか。とりあえず、俺が木刀一本を携えたところで、何の戦力にもならないと証明された訳だ。しかし、合格って何なんだ。
その淡く輝く人型の何かは小柄な少女の姿となった。ショートヘアは金髪。そして青い瞳はモロに白人だ。彼女の鋭く釣り上がっている目元はヘイゼルさんとよく似ている気がする。そして服装は光沢のある黄金色のワンピースで、丈は短くノースリーブだ。体にぴちっと張り付いているようなデザインなので、小柄なロリ体形がそのままわかる……のだが。
「おい。壮太と言ったな。私の胸元をじっと見つめているようだが……小さい胸が好きなのか?」
「いえ、そんな事はないです」
「遠慮するな。さあさあ、存分に撫でてくれ」
そう言って彼女は俺の右手を掴んで自らの貧相な胸元へと誘うのだが。
「ウルファ。悪戯は止めろ。壮太から離れるんだ」
「はーい」
ヘイゼルの言葉に従った彼女は俺の上から離れて立ち上がり、俺の手を引いて立たせてくれた。どこから見ても小学生なのだが……先ほどは俺が全力で打ち込んだ木刀をいとも容易く受け止めていた。見かけ通りの人だとは思えない。
「よっこらしょ。私はウルファ。竜王親衛隊の隊長です」
親衛隊の隊長だと? 見た目はこんな小学生みたいなロリっ子なのだが、もしかして竜の姿になったらめちゃ強いとか、そうなのだろうか。いやいや、さっき俺の木刀を受け止めた時の力強さは半端なかったからな。
「俺は
「熱帯魚って? 食べられるの? 美味しい?」
ウルファが熱帯魚に食いついて来た。イチゴやヘイゼルさんと同じ反応だ。これは韻を踏んでるなあ……。
「ウルファ。それは壮太のペットだ。食べ物じゃないぞ」
「そうなんですか?」
「そうだ。日本では犬や猫やネズミ、魚やトカゲなどの小動物をペットとして愛でる習慣があるのだ。決して非常食ではないからな」
「そうなんですね。わかりました。壮太、今度その熱帯魚を見せてね」
「はい」
うむ。この反応だけを見ると可愛い小学生にしか見えない。
「ところでウルファさんはラグナリアの人なんですよね。何で日本に来たんですか?」
「あの、私はさっき親衛隊の隊長だってお話しましたよね」
「はい。そのように伺いました」
「ヘイゼル様は皇太子殿下なのですよ。殿下が一人でブラブラ出歩いているのを見逃すわけにはいきません。それと、ヘイゼル様が居候する事になったと聞き、そこの主人が危険人物かどうかの確認をしなくてはいけい。そんな事情なのです」
さっきの会話だ。
俺の判定はギリギリ合格らしいのだが。
「そう言う事だ。私もヘイゼル様と共にお前の家に居候させてもらう」
ええっと。
1DKのアパートに三人ですと?
しかも幼い女子一名がご一緒ですと?
「何か不満なのか? 夜は私が添い寝してやるから我慢するなよ」
俺はどう反応していいか分からなくなった。
そして気になるのが「添い寝」に「我慢するな」だと? これって何なん??
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