言語
「ところでシェリアさん。貴方はどれくらい言語の読み書きをできますか?」
「読み書きですか?」
ルーランドではありとあらゆる種族が存在する。
無論共通語というものも存在するのだが、いかんせん、自分の種族の文字しか使わないという輩もいるし、たまに外食をしに店に入るとメニューが自分の知らない言語だったりなどよくあることだ。
私はこの時、共通語である人語と獣人語をマスターできていたが、私が今いるこの国には他にも鳥人や龍族などの、未だ理解できない言語を使用する種族がわんさかいる。
ちなみに話し言葉であれば、今手にしている便利な指輪「クリアリング」と呼ばれるもので異種族間の言葉を翻訳してくれる魔法道具のおかげで、会話することは簡単にできる。
「クリアリング」はこの世界では所持していないと困るもので、言わばスマホのようなものだと思ってもらって構わない。
「この国で使われる言葉でしたら基本的に読み書きができます」
「なんと!今何かお仕事はされていますか?」
「いえ、お恥ずかしい限りですが、今は定職についていないです」
「もしご都合がよければ、調査にご協力いただけませんか?」
「協力ですか?」
「ええ、私は読み書きできるのは人語と獣人語だけでして、もしよければそのお力を貸していただきたい。もちろん拘束した時間の分は報酬額から差し引かせていただきますよ」
この世界に来て読み書きは非常に大事だと理解した。
こちらも向こうの言葉がわからないと契約書一枚書くだけでも大作業だ。
いちいち、翻訳して相手側に理解してもらわなければならないし、それには無駄に時間を費やしてしまう。
「わかりました。私なんかでよければお手伝いさせてください」
「なんかなんて言葉は勿体無い。それは誇って良い特技だと思いますよ」
私は立ち上がり、黒のチェック柄のコートを羽織る。
「早速ですが今から城下町へ行ってきます。もしご予定がなければ一緒にどうです?無論お昼くらいでよければ奢らせてもらいますよ」
そう告げるとシェリアは慌てるように立ち上がり、「わかりました」と言い、私とともに家を出た。
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