第7話
「お嬢様、スノーフラワーというのは、少し…いえ、かなりネーミングセンスを疑いますが…」
真っ青な青空の下、屋敷の庭に真っ白いテーブルとパラソルが。優雅に紅茶を飲んでいたお嬢様は、一瞬眉をひそめて
「何を言っているの?完璧な私が?」
ズズッ、と紅茶をすすりテーブルの下の細身の足を組む。
「そんなことないわ!私は完璧よ」
「では、そんな完璧なお嬢様に聞きますが…」
コツコツと音をたてて歩き彼女の横に立つ。
「
耳元でそう囁くと、真っ青な顔で振り返られる。今にもカタカタと効果音が聴こえてきそうな程。
「し、知ってたの……?」
「勿論でございます。生憎、冷蔵庫、食料庫の中の食材の量は把握済みです。」
右手でまるをつくってみせる。足元でふわふわの子猫が、にゃあと鳴く。
「あんなもの作れるわけないじゃない!!いつの間にか黒焦げよ」
チッ、と舌打ち(舌打ちをすることが今まで無かったのか、正確に言うと投げキッスのような音になっている)をして立ち上がる。
「さて、皆様。パンケーキぐらい小学生が親の手伝いでもしてるだろうに、何故自称完璧お嬢様がここまで不器用なのかというと…」
真っ暗な背景に座り、スポットライトが当たる。ザーッとテレビの白黒画面になったときのような音がし、不気味な雰囲気を醸し出す…
「いやいやちょっと待ちなさい、誰が自称完璧お嬢様よ。自称じゃなくて、事実でしょ!それに、この大きなセットは何よ」
あ、と思ったときには遅く、後ろのセットを蹴り破られていた。
「…それ作るのに私がどれだけの時間と労力とお金を使ったか…お嬢様に想像できますかね…」
「どうせ数万円でしょ?それがどうしたのよ。あんなみたいな暇人には、これを作るのがちょうどいい暇潰しだったんじゃない?」
悪魔のような笑い(今の私には悪魔にしか見えない)を浮かべて、子猫を抱き上げる。
「あら、そろそろお茶の時間だわ。準備してちょうだい。」
「今日のおやつはお嬢様が昨日焦がした真っ黒のパンケーキでございます。」
90度にお辞儀をしてニヤリと笑う。
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