第11話 暗闇 聞き流し はしごのぼり

 相棒の声に反応し、帽子マノンに目を向けようとする。

 フライステーションのようなうつ伏せで浮いている状況だと気付いたのは、帽子だった相棒マノンが目の前に降り立ったこと、そして私の方を見て笑い転げたから。マノンがぶつかり、壁が崩れ、黒い塗料がげなかったら気づかなかっただろう。

 吹き付ける風が強すぎて、姿勢が安定しない。マノンめ……覚えてろよ……。

 

 3メートル辺の立方体の部屋のようだ。壁や床には黒い塗料が塗られており、ご丁寧に床から上昇気流を出し続ける工夫までされている。ジタバタしても床や壁にぶつからないように調整されているらしい。


「下を向いてると話しづらいなら、仰向けになると良いよ?」

「……ほんとだ。で、なんで蹴落とされたんだろ。」

「ん~? 多分、ができたら、上げてもらえるんじゃないかな。」


 なぜか上を見ながらマノンは言う。私も上を見たけれど、真っ暗だ。何も見えない。

 ……なんで真っ暗なのにマノンは見えてるの? 壁も一部見えてるけど。

 私に視線を向け、考えている事に応えてくれる。


「ここは、僕たちを文字通り感じてもらう場所だからね。」

「よっと、へぇ~、っとと!」

「上手だね、風の扱いに慣れてきたかな。」


 マノンの話を聞き流しつつ、姿勢を変えてみる。両手足を横に伸ばしていると安定した。

 髪が邪魔だ、あとで髪型を変えよう……。

 マノンが目の前に。大きな青い瞳が視界いっぱいに映った。


「お、おお?」

は不思議な子だね? 面白いも持っているし。」

「手探りだけどね、色々と。」

「見ていて退屈しないね、キミは。」

「何だよ、急に。」

「お、そろそろ準備できたみたいだね。そろそろ上がるよ?」


 マノンが帽子形態になり、頭に戻ってくる。

 風が止み、床に着地すると同時に、暗闇が徐々に晴れていく。目の前には梯子はしごがあり、遥か上まで続いていた。


「え、まさか、登れってこと?」

「ガンバレー、お腹減ったから早くしてね!」

「えー。」


 催促するようにポンポンと後頭部を叩かないでくれるかな! うわ、梯子にも苔が生えてる!

 あとで、もう一回シャワーを浴びよう、と心に決めながら登っていった。


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「ねぇ、あの子マノン、山はどうするのかしら?」

「ポリポリ……ウサギ並みの知能ですし。」

「新しい子を置いておきましょうか……。」

「大変ですね?」

「そうね、あなたも手伝ってくれても良いのよ?」

「あげませんよ。」

「もう! ……次は尻尾が大きい子にしようかな♪」

それその表情に見せれば良いのに。」


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被害

風のギルド内 風向調整用魔術制御盤(壁面設置型) 4か所

セレスのズボン

宿屋のお姉さんの小指(角にぶつけた)「なんなのよ、もぅ……。」

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