第16話 よしき
高校生になってから前田さんは急にモテ始めた。
同じ中学だった僕は頻繁に呼び出され、前田さんのあれやこれやの質問に答える毎日だった。
大半は「メールアドレスを教えて」だったが、僕は携帯電話を持っていないので知る訳も無い。
というよりも、前田さんの事は何も知らない。
何処に住んでいるのか?
家族は?
兄弟は?
血液型は?
良く考えれば何も知らない。
周囲も段々と僕のポンコツ振りが分かったのか「前田さんの◯◯教えて?」は次第に消えて行った。
図々しい男子たちが昼休み、前田さんの所に良く集まる所を遠巻きに見ていた。
男子が集まる所には女子も多く集まり、一つのグループを作り上げていた。
前田さんは中心人物だったが困った顔して、笑っていた。
「なんなん? 自分も前田さん、好きなん?」
「え?」
不意打ちだった。
見ている事がバレる事など無かったのに、隣の席の関西弁男子に即バレした。
これがよしきという男の出会いだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます