第7話 前田さん

僕の通う中学には確かにイジメがあった。

確かだけど、不透明でとても分かりづらいイジメだ。

誰がイジメられているか、誰がイジメているか、周囲から分からない陰湿なイジメだ。

そのイジメは無視という物だった。


無視というのは残酷だ。

その場に居ても、存在しない。

存在してるけど、存在しない。

意識的にその人物を消す。


残酷だ。

残虐だ。


心にどれだけの傷を負わせるんだろうか?

僕には分からないだろう。

分かる筈が無い。

僕も見て見ぬ振りをしている時点でイジメている側。

どうする事も出来ない。

僕には力も発言権も何も無い。

ただ、悲しそうにしている「 前田さん 」を遠くから見ている事しか出来なかった。


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