パークを護る者。

第20話 椅子取りゲーム

「「うおおおおおおおおお！！」」

ガキィィィン！

カズはヘラジカの杈を木刀と刀で防ぐ

ギギギギギギギギギギギギ

2人は鍔迫り合いを続ける

「いい加減…やめたらどうだ？ヘラジカさんよぉ！」

カズがヘラジカを押し始める

「く…やめるわけにはいかない…私は最強になるんだ！」

今度はカズが押される

「うおっ…お前にとって最強ってのは強ければそれでいいのかよ！」

「さっさと退け！私はヒグマに勝って最強になるのだ！」

カズは力を込めヘラジカを弾き飛ばし木刀をヘラジカに向ける

「だったら俺を倒しな…話はそっからだ！」

「お前を倒したところで何になる！」

「その通りだ俺を倒しても何にもならねえ…だからこそだ…」

「何が言いたい…」

カズは不敵な笑みを浮かべる

「俺を倒しても最強にはなれねえ…つまり俺に負けるようじゃ最強なんざ夢物語さ…」

「…なんだと…」

ヘラジカが杈を構える

「俺に負けるようじゃ最強という名の椅子を懸けた椅子取りゲームの決勝戦どころか予選通過すら出来ねえよ…だからまずは俺を倒して予選通過しやがれ」

「いいだろう…まずはお前を倒す！」

「来やがれ…」

「「はあああああああああ！！」」

ガキィィィン！

「はあ！」

ブォン！

「でやああ！」

ガンッ！

互いの武器がぶつかり合う

するとヘラジカが飛び上がり杈を振り下ろす

「でやああああああ！」

ガキィン！

カズは刀で受け止め

「はあああ！」

木刀でヘラジカを突き飛ばした

「う…」

「はあああああああ！」

カズが追い打ちをかけるが

「ふん！」

ガン！

ヘラジカが頭突きをする

「うぐ…」

ドン！

カズは岩にぶつかる

「これでトドメだああああ！」

ヘラジカが杈で薙ぎ払った…しかしカズの姿はなく…

「どこに行った！」

「ここだぜ…ヘラジカ…」

カズは杈の上に乗っていた

「な…！」

ドォン！

木刀を振り下ろし

「うおおおおおおおおおおお！！」

そのままヘラジカを地面に叩きつけた

「はあ…はあ…もう諦めたらどうだ…ヘラジカ…」

ヘラジカはボロボロになりながらも立ち上がる

「まだだ…私が最強に…なるのだ…誰にも邪魔はさせない！」

それを聞いたカズはヘラジカに聞いた

「お前にとって最強ってのは強ければそれでいいのか？誰よりも強ければそれで最強なのかよ…」

「…そうだ…だから私は！」

「最強ってのはな…ただ強ければいいって訳じゃねえ…自分の護りたい物を全部護る事が出来ねえといくら強くても弱いことに変わりはない…だから俺は弱いのさ…だから俺は！」

「うおおおおおおおおおおお！！」

ヘラジカが突っ込んでくる

「地べた這いずってでも目の前の物一つ護れねえ…だがな！」

ザク…

ヘラジカの攻撃を手のひらで受け止めた

「なに！」

カズの手から血が流れる

「強ければ最強になれんなら勝手に言ってろ…だが俺はお前を最強とは認めねえ…お前に最強を語る資格も…その椅子に座る資格もねえんだよ！」

ガァァン！

カズはヘラジカに思い切り頭突きを食らわせた

「あが…」

ドサ…

ヘラジカが倒れた

「…痛えな…」

カズはそう呟いた