僕と天音が付き合うまで その20 (僕の理想の妹はネトゲの中にいた)
天音に謝りたい……大切な人を傷つけてしまった事を……
そしてけじめをつけよう……、天音を妹にする、僕の本当の妹に……
そうしなければ、このままではリンとは会えない……
そうしなければ、リンに対して不誠実だ
天音には大切な人がいる、僕は応援すると決めたんだ、横恋慕なんて有り得ない
ネトゲの中だけど、僕とリンは互いに好きと言った、言ってくれた。
どちらを取るかなんて、考えるまでもない……僕は天音に対する恋心を消し去らないといけない
学校から帰ってきた僕は、すでに帰ってきている天音の部屋を覚悟を決めてノックした……
「はい……」
ノックしてすぐ扉の向こうから天音の返事が
「ごめん話しがしたいんだ……」
僕がそう言うと、扉が僅かに開いた。
「今着替えてるから、リビングで待ってて」
「あ、うん……ごめん」
断られるかと思った、拒絶されるかと思った、少しホッとしながら僕はリビングに向かう。
僕はリビングのソファーに座り暫く待っていた、すると天音がゆっくりと扉を開けて入って来た。
「話しって?」
入って来るなりぶっきらぼうにそういい放つ天音……ここで謝るのが筋なんだろう、さっきまでそう思っていた、でもその言い方が僕には我慢出来なかった、何故そこまで……
「そんな言い方……ないだろ……」
「何が?」
「そりゃ僕が悪かったよ、天音の大切な人を悪く言って、でもそこまで、そこまで怒らなくてもいいじゃないか!」
「怒るよ、怒るでしょ! あんな事言われて怒らないわけがないよ!」
「だから謝ったじゃないか、それをそこまで拒絶しなくても」
「謝まるくらいなら最初から言わなければいいでしょ! 人の彼氏に変態なんて信じられない」
「はん、彼氏って付き合ってたんだ、へ~~自分で勝手に思ってるだけなんじゃないの」
「私好きって言いました、向こうも好きって言ってくれました~~~そっちこそ2次元の相手なんじゃないの~~好きな人じゃなく嫁でしょ、僕の嫁」
「残念でした、僕だって好きって言われました~~」
「へーー、兄さんみたいな人が好きって、変わってる~~本当に女の子~~?」
「僕はモテるからね、誰かさんと違って」
「私だってモテます~~ちょっと前迄は…………」
天音がそう言うと突然表情がなくなった、そして僕を見たまま動きが止まった
「?」
「3年前迄は……」
そうボソりと呟くと、目から涙が……そして自分で自分の身体を抱くとブルブルと震え出す。
「天音!! どうした」
「な、何でもない……大丈夫」
「大丈夫に見えないよ」
「大丈夫だから、私は大丈夫……だからもう……」
まただ、また僕を拒絶する、何でだよ……何でそこまで
「何で僕をそこまで嫌うんだよ! どうして僕をそこまで拒絶するんだ!」
そんなに彼氏が大事か、そんなに……僕より……
そう言うと天音は僕を見つめ、さらに涙を流す、そして
「だって……だって…………これ以上一緒に居たら、これ以上話しをしたら……私、兄さんを好きになっちゃう……、ううん……もう既に好きになってる、でも私は……好きな人が……大切な人が……」
「え?」
天音が僕にとんでもないことをいい始めた、僕の事が……好き?
「兄さんに、朋ちゃんに彼を貶された時に最初は腹が立った、ううん今でも怒ってる、でも彼を貶された事より、そんな事を言う朋ちゃんが嫌だって、私の好きな人がそんな事を……人を貶す事を言っちゃ駄目だって思った、え? 私今好きな人って思ったって、私……それがわかったから、自分の気持ちがわかったから……びっくりして……だから……」
天音が泣きながら僕に突然告白してきた、そうか……そうだったのか……
「天音…………僕も、僕も天音の事を好きになっていた、だから天音が好きな人の事を僕に話している姿を見て腹が立っていたんだ、焼きもちを焼いていたんだ、だからあんな事を……ごめん天音」
「そして……ありがとう……好きっていってくれて、嬉しい」
「私も……ありがとう」
そうなのか、そうだったんだ、天音もなんだ、僕は嬉しくて嬉しくて堪らなかった、天にも昇る気持ちとはこの事だ、でも……
「でも、朋ちゃん……ごめんなさい、私、彼の事も好き……朋ちゃんよりも」
「うん……わかってる、僕も同じだから……」
「私たち酷いね、一度に二人を好きになるなんて」
「そうだね、相手がこれを知ったら怒るよね」
二人で笑い合う、そしてスッキリした、そうかこれは恋じゃないんだ、愛なんだ、これは…………兄妹愛なんだ。
そして二人で見つめると同時に言った
「私たち、仲の良い兄妹で居ましょう」
「僕たち、仲の良い兄妹で居よう」
絶対に言うと思った、天音も多分そう思ったんだろう、僕と天音って、同じ感性なんだ、同じ心なんだ
正に兄妹の様に、僕と天音は今……本当の兄妹になった。
########
そして木曜日、僕は晴れやかな気持ちで駅に向かう、ただ時間は少しギリギリになってしまった、だって、なにやら朝から天音が洗面所を占拠してて中々用意が出来なかったんだ、妹よ今日は大事な日なんだ、兄にキチンと歯ぐらい磨かせろ!
「はぁ10時には間に合いそうだ」
僕は腕時計を見て早足で歩く、商店街を抜け駅のガードをくぐり駅前広場が見えてくる…………げ?
そう、僕はリンを見つけなければならない、最悪一人一人に声を掛ければいいやって思ってたら……そう、今日は夏休み初日……結構な数の若い子がいる……っていうかリンって何歳かもわからない、わかってるのは小さな泣きボクロ
「え、ちょっと待って、僕そんなに目がいいわけじゃない、泣きボクロなんて見るにはかなり近づかないと」
いきなりそんな知らない女子の近くに寄るなんて出来ない、しかもこの人数……出来る分けない……
そう思いながら辺りを見回すと……一人僕好みの長い黒髪、可愛いらしい白いワンピース姿の女の子が立っている。
遠目からも見て分かるその姿、まるで僕の妹のように可愛いって………………あれ?
「メガネしてないけど……あれって天音?」
何で天音が、今日天音もデートか? メガネ取った姿初めてちゃんと見た、やっぱり超可愛いな……ってそんな偶然ある?
「まあ夏休みだし、天音もデートか…………って何考えてるんだ僕は、喜ばしい事だろ」
でもどうしよう、声をかけた方がいいのか? いやそれより、リンを探さないといけないんじゃないか?
しかし辺りには他に気になる人は居ない、僕はなんだかんだ言ってリンがわからないのか……
仕方なく、天音に近寄って見ることにした、まあ妹だし後でリンに紹介出来るし、ついでに天音に彼氏を紹介して貰えば……
僕は天音に近寄るが天音は僕に気が付かない、コンタクトをしているわけではないらしい……
かなり近づくと天音が僕を見る、やべえ近くで見ると凄く可愛い特に目が………………あれ?
「天音……」
「え!!」
僕が声をかけると、天音が慌てて持っていたバックからメガネを取り出し装着する。
「朋ちゃん!! なんでいるの!?」
「いや僕今日彼女に初めて会う事に…………」
「えええええ!、私も今日初めて会うんだけど…………」
え、初めてなの?……ええ? まさか……でもひょっとして…………だって天音の目には……泣きボクロが…………そしてあの画像の目と同じ……
「リン?」
「ルナ?」
「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!」
僕と天音が同時に声をあげる、周囲の人が一斉にこっちを見る……でもそんなのに構っている余裕なんてない…………そんな……こんな事って
「リン、リンなのか?」
「ルナ……ルナなの?」
お互いが呼びあい、そしてお互いが頷く、本当に……本当にそうなんだ…………嘘だろ……こんな事って……
「嘘、ルナが朋ちゃんなんて……信じられない………………でも…………でも……嬉しい……良かった……」
「僕だって、リンが天音だったなんて、信じられない……嬉しい…………良かった」
僕と天音は笑顔で見つめ合う、この偶然に、この奇跡に驚きながら……
そして天音がいつものリンのように、チャットを打ち込むように話し始める。
「でも……、なんか微妙だよ……、私たち同時に二人を好きになってたんだから、これって最初から浮気してたって事だよ?」
「えーーーでも、同じ人だったんだから浮気にはならないでしょ」
「それって結果論じゃない、ルナってあんまり誠実じゃなかった~~」
「えええええ、リンだって同じだろ~~がっかりだよ~~」
「ルナってもっともっと素敵な人かと思ったな~~」
「リンってもっともっと愛くるしい人だと思ったよ~~」
「ごめんね~~可愛いくなくて~~」
「素敵じゃなくてごめんね~~~~」
そして二人で大笑いする、楽しい、凄く楽しい、分かるんだ、こんな事を言っても平気って、だってもう何年も話しているんだから、そしてこの後何を言うのかも分かる……だってリンは僕の理想の人、僕と同じ感性を持つ人
僕と天音は笑い終わると見つめあい、そして同時に言った。
「初めましてルナ、ずっとずっと好きでした」
「初めましてリン、ずっとずっと好きでした」
僕の理想の人は妹だった、そしてずっとネトゲの中にいた。
【あとがき】
フォロー、★レビュー、♥エピソードに応援ありがとうございます。
引き続き応援よろしくお願いいたします。
特に★レビューをよろしくお願いいたします。m(_ _)m
現在他にも作品集中更新中です。
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054884994656
妹に突然告白されたんだが妹と付き合ってどうするんだ。
https://kakuyomu.jp/my/works/1177354054890642651
国による恋人マッチングシステムを使ったら、選ばれたのは隣の席の大嫌いな女子だった。
こちらも合わせてよろしくお願いいたします。
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