僕と天音が付き合うまで その13 (女子会その1)

 

「朋ちゃんとデートだ~~」


 どうしよう、どうしよう、とりあえずお化粧でしょ、あとはだて眼鏡、制服に帽子ってどうだろう、お母さんウィッグとか持ってるかな?


「そうだ、ベレー帽なら行けるかも……、ああいい感じ」


 自分でかぶってみたが別に変じゃない、というか朋ちゃんなら可愛いから何でも似合いそう


  久しぶりだ、凄く久しぶりにウキウキしている、もう2年近くも友達と出掛けていない、楽しみ、早く明日にならないかな?


「どこに行こう、お買い物? 映画? 食事? 喫茶店? いっそのこと遊園地とかピクニックとか」


  もうずっと出来なかった友達との外出……あの一件からずっと……


「どうしよっかな~~♪、朋ちゃん制服だし私も制服でいいか~~」

 着るものを決めたら次は行くところだ、私は久しぶりに雑誌を見る、2年前の雑誌、ひょっとしたらもう店がないかも知れない、それでもいい、気に入った所があれば携帯で調べれば……


「あ、ここのケーキ美味しそう、ちょっと遠いけど、でもこの辺だと朋ちゃんも嫌がるだろうし……少し位なら遠い方がかえっていいかも……でも移動時間が勿体ないな……」


 雑誌を広げ携帯で確認を繰り返す、予定をたてるのがこんなに楽しいとは思わなかった……


 そして時間が経つのを忘れ熱中して行き先を決めていたが、明日は早く出かけると言うことを思い出しそろそろ寝ないとと思いふと時計を見る……………………あ!!!


「ルナ!!」

 忘れてた……インするのを忘れる位に熱中してしまった……

 慌ててパソコンの電源を入れ、ログインするが…………ルナはいなかった……

 時間は12時を過ぎていた……12時まではいようねって約束をしていた。



 久しぶりにルナに会わなかった、1年以上毎日会っていたのに……

「ごめんルナ……」

 でも、これないかもって言ったし、1日位大丈夫だよね、もし待ってたら明日謝ろう、ルナなら許してくれるだろう。

 そう思いながらログアウトしてパソコンの電源を落とした。



 ####



「本当に行くのかよ……」


「えーー今さら? 制服で部屋から出てきたんだから覚悟決めてよ」


「わかったよ、でもこのまま出掛けられないだろ……」


「それは今からやるからそこに座って」

 早朝まだ両親が寝静まってる時間、私と朋ちゃんはリビングでひそひそ会話をしていた……


「はい、目を瞑って」


「ん」


 椅子に座らせ朋ちゃんが目を瞑ったのを確認して化粧を始める……目を瞑った顔にちょっとドキドキ……そして他人に化粧するのは初めての経験……とはいえ肌は綺麗で顔も可愛いからそれほどやる必要も感じない……


 髭も生えていない……本当にこの人男子?


 軽くファンデーションを塗り、アイシャドーと口紅……付け睫持ってきたけどいらないじゃない、睫毛なが!!


 そしてだて眼鏡をかけ、ベレー帽を被せる…………


 なに? え? まじで綺麗……めちゃくちゃ可愛い……


 元からして女の子見たいな顔立ちな朋ちゃん、髪の毛は栗色でショートカットだけどユルふわパーマ? それとも癖毛? 目は大きく可愛らしい鼻、男の子とは思えないプッくら唇、いつも部屋に籠っているみたいなので肌の色も白い、そこにさらに化粧でパワーアップ……もうこれって可愛い通り越してる……


「え? なに……これ……」


「えええ、なに? 何したの? 目を開けていい?」


「あ、うんいいよ、はい鏡……」

 私は持っていた手鏡を渡す。


「え……うわ……僕……完全に終わってる……」


「終わってない!!! 凄く、凄く綺麗で……可愛い……信じられない位に……」


「いや、あの……僕男の子なんだけど、完全に男の娘じゃん……」


「朋ちゃん、こないだ美智瑠さんと同じくらい? いえ、化粧したら美智瑠さん以上に可愛い、ショートカット美人……羨ましい……」


「羨ましいって……でもまあ、これなら誰も気がつかないか……とりあえず行くよ! ここまで来たら僕も男だ覚悟を決める!!」


「その格好で男だって言われても~~、あははははは」

 笑っちゃう~~でも、楽しい~~


「笑うなよ~~~天音がやったんだろう~」


「ちょっと化粧しただけだよ、それもナチュラルメイクだから」


「もういいよ、どうせこんな顔で生まれた僕が悪いんだよ……ううう」


「こんなってその言葉で殺意を抱く女子がこの世に何人いることか」


「僕は男だって言ってるだろう!」


「え? 誰が~~~? あははははは」


「もういいよ、行こう……こんなところ父さんか母さんに見つかったら」


「うちのお母さんなら着物着せたがるよ、朋ちゃん似合いそう、今度二人で着物でお出かけしよう」


「もう、何でもいいよ、とにかく家を出よう」


 親にバレないかびくびくしている朋ちゃん、その姿とマッチして小動物みたいで凄く可愛い


 そのまま二人でリビングを出て、玄関に行き両親を起こさないように、そっと扉を開けて外に出る。




「うわーーーードキドキする! スカート怖い」


「大丈夫だよ~~、意外に見えないから」


「えーー、結構パンツ見えてる奴いるぞ、階段とかで」


「うわーー、見てるんだ、引く……」


「見たくて見てるわけじゃないって」


「そこまで短くないから大丈夫だよ、なんなら短くする?」


「やらないけど出来るの?」


「ウエストの所折るんだよ」


「へーーー切ってるのかと思ってた」


「着ると裾を縫ったりするの大変だし、まあ校則によるけど短いの禁止だと学校にいる時だけスカート長くしたりするしね、あと厳しい先生がいる前だけ素早く直したりって時も」


「そこまでしてまで短くしてるんだ、何で?」


「えーー少しでも可愛くしたいじゃない」


「そんなもんですか?」


「可愛い朋ちゃんにはわからないでしょうね、羨ましい……」


「だから僕は男だっつーの……、それでどこへ行くの? これって駅の方に向かってるけど」


「ああ、そうか言って無かったよね、えっとね、お洒落な喫茶店があって、買い物も出来て、公園もある所」


「ふーん、まあ良いね僕もお洒落な喫茶店とか好きかも、でどこなの?」


「吉祥寺」


「ああ、なるほど、でも大丈夫かな~~意外と知り合いいるよ」


「今日の朋ちゃんなら大丈夫だよバレないから」


「そうだといいんだけど……、まあとりあえず行くか、ああスカート歩き辛い」


「あはははははは、朋ちゃん歩き方変~~~」


 朝から凄く楽しい、久しぶりに気持ちが晴れる、ありがとう朋ちゃん……ありがとう…………お兄さん……



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