僕と天音が付き合うまで その2(僕と私の理想の人)
理想の人……誰にでもあるでしょう?
顔が理想、スタイルが理想、性格が理想、色々な理想を持っていると思う。
僕の理想は、それほど高くはない。
僕の理想の人は僕と同じ価値観を持った性格のいい人。
でもそれって判断するのが難しいよね? だって隠すじゃない? 特に好きな相手には自分を隠すよね。
好きでもない物を私も好きと言い、感動もしていないのに感動したと言う。
でも分かるよね、感動したって言っといて、話しを終わらせようとする。僕が2時間その話しをしていたら、時計をチラチラ見だす。
全然感動してないじゃん!!
そんな人は居ない、見つからない……なんて思い始めてた。
でも、居たんだ、ついに見つけた見つけたんだ!! 僕の理想人が!!
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告白の定番、屋上に呼び出される。
夏休みまであと少し、梅雨明け宣言が出され、日差しの強さが本格的になってきた。
恐らく告白されるんだろう……、違うクラスの女子が放課後屋上に来てくれと言ってきた。いつもの事……多分今から来る娘の友達なのだろう……
そして言われた通りに、僕はここに来ている。
まだ誰もいない屋上の日陰で待つこと数分、扉から一人の女子が入ってきた。見たことはあるが名前は知らない……
緊張の面持ちのまま僕の目の前に立ち、その女子は一度目を瞑り胸に手を当てて深呼吸をする。そして……予想通りの言葉を僕に言った。
「いきなりでごめんさない、渡ヶ瀬君、私と……付き合って下さい!」
高校に入り半年たった。告白はこれで4人目……女の子みたいな容姿の僕は昔から男女両方に告白される……
ちなみに最近自信がなくなってきたが……僕は一応ノーマルだ!
「えっと……君ってゲームやる?」
「え? えっと、携帯で少しなら」
「MMORPGとかは?」
「えむえむ?」
まあ、そんな奇跡はないか……
そしてそれを知らない以上僕の答えは決まっている。付き合う事は出来ない……
「ごめんなさい、お付き合い出来ません」
「……わたしじゃダメですか?」
「だめも何も君の事を知らないんだ」
「じゃあ……知ってください!」
「ごめん、僕もう好きな人がいる」
そう僕には好きな人がいる……
「……誰ですか?」
「分からないんだ……」
「は?」
「誰かは分からない、でも僕はその人の事が大好きなんだ……僕の理想の人なんだ」
「ごめんなさい、意味がよくわからないんだけど」
「うん、言ってる僕も分かってない……」
「……断るなら、……断り方を考えてよ、何よそれ!! ばかああああ」
そう言って、彼女は屋上から出て行った……
高校に入って4回目、1回目は叩かれ2回目は泣かれ3回目は罵られた。そして今日4回目は……逃げられた……
「ごめん、でも僕……何も嘘はついていなんだ……」
僕には好きな人がいる、僕の理想の人だ……でも……誰だかは分からない……男か女かも……
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理想の人……誰にでもそんなイメージありますよね?
私にもあります理想の人、容姿とかはあまり気にしない、年齢も気にしない、優しくて誠実で、頼りがいがあって、そして私を大事にしてくれる同じ価値観を持ってる人、そんな人が私の理想。
でも男の子ってみんなカッコつけてるか、諦めてるかのどっちか、モテたい人って調子が良くて、それ面白い~~って言いながらも全然聞いてなかったりする。
私の理想の人なんて居ないって思ってた、つい最近まで……
ストーカーに遭い男の人が嫌い……でも、だからこそ理想ってある。
そして居たの、私の理想の人、誠実で優しくて同じ景色に感動してくれる。私の話しを嫌がりもせずにいつまでも聞いてくれる。その人の話しも凄く楽しくていつまででも聞いていたい、そんな人が居たの! ついに見つけたの!
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「ねえねえ天音ってさ、渡ヶ瀬先輩の妹になったって本当?」
「……義理の妹よ」
「えーーーーーー! じゃあ朋先輩と同居してるって事?」
「去年母が再婚したんだから、まあ……」
多分知ってる癖に聞いてくる、転校して暫くして分かったが、兄はこの中学のアイドル的存在だった……みんな容姿しか見てないでしょ、あの性格ブス……
「羨ましいな~~朋先輩って可愛いよね~~彼女とか居るのかな?、それとも彼氏?」
「さあ?」
正直あいつの彼女なんて興味ない、彼氏だったら少し興味が……いやいや……
「えーーなに? 仲悪いの? それとも付き合ってるのを隠してるとか?」
「冗談じゃないわよ! 私には好きな人が…………」
「え !天音って好きな人居るの、誰々?」
しまった……絶対に言えないのに……だって……誰だか分からないんだから……
「えっと、内緒……」
「えーー、教えてよーー協力するよー、だから私にも協力して、お兄さん紹介してね」
絶対に嫌……でも私は愛想笑いでしか返せなかった……
前の学校でも目立たない位置にいた。クラスの中の目立たない存在、同窓会で「えっと誰だっけ?」って言われる位置、黒髪眼鏡の地味な存在、そんな位置に居た。
なので転校するとなったときに誰も悲しそうな人は居なかった……私も別に困らなかった。ストーカーに遭って逃げてきた学校だったし……あまり出席も出来なかったし、そして再婚して……お母さんが幸せになるなら……
新しい生活はとてもいい、新しいお父さんも優しい。でもあいつは嫌い、大嫌い、女の子みたいな可愛い顔、その顔でブスって言った……最低……どうせあんたよりブスですよ!
私には好きな人が居る、凄く優しくい彼……彼……もしかしたら彼女かも?性別は分からない
そして年齢も……どこに住んでいるのかさえ……
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「あははは、そんな事考えてたんだ天音」
「朋ちゃんこそ」
「だってリンって本当に可愛くて優しくて」
「えーー今の私は違うの? ルナだって凄く優しくて誠実だった……
「あの時の天音は怖かった……」
「朋ちゃんだって意地悪だったじゃん!」
「そうだね……まだ全然しらなかったね……一緒に暮らしてたのに……お互いの事」
「うん……」
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