どんどん女子化している僕……
寝る前は化粧水を付けて寝るようになった、天音に散々言われて……
後は足と腕のオイルマッサージ、これも天音に教わった……
鏡を見て肌を気にする、眉を気にする、睫毛も気になる様になった。
「最近鏡の前によく立ってるな……」
この間全身映る鏡を買った、服を着たらちゃんと似合っているか確認がしたいので。
なんか……僕、どんどん女子化が進んでる気がする……可愛い服を着て今日は僕可愛いなって思ったりしてる……
以前はなるべく男の子っぽい格好をしてた、なるべく鏡も見ない様にしてた。
以前の僕は僕が嫌いだったから、女、女、女、どこから見ても女の顔……
キレイ、可愛い、僕にとっては悪口だ、格好いい、男らしいって言われたかった。
でも今は天音が僕の姿を見て好きって、可愛いって言ってくれる。
僕はそれを聞くと、凄く嬉しくなる。
もっと可愛くならなくちゃ、もっと綺麗にならなくちゃって思う。
天音が悲しむのは嫌、天音が泣くのも嫌、天音の為にもっと可愛く、もっと綺麗に、もっと女らしくしたい、女らしくなりたい。
「僕って言うのも止めようかな……」
天音と一緒の時はもう自分の事は僕って言わない、わたしって言う、女の子のしゃべり方もしている。
「後は朝なんだよな~~どうしても天音の反応が……」
学校に行く時はどうしてもズボンを履く、履かなくちゃ行けない、僕のその姿を見て天音が少しがっかりした顔をする。
学生服じゃないだけ良かった、多分学生服を着たら逃げていくんだろう。
それでも格好は男子の格好だ、ブレザーだけどやっぱり姿は男子だ。
僕の身体は細いけどやっぱり女子とは違う、男子の格好をすればやっぱり男に見える。
顔と身体がチグハグなんだ……
だから天音ががっかりする……やっぱり男の子だって思ってしまう……思われてしまう。
僕は天音の前では女の子になるって決めたんだ、だからそれは、天音のがっかりする姿を僕はみたくない。
出来ない事もある、だから出来る事をしよう、出来る限りやろう。
しゃべり方、歩き方、立ち振舞い、洋服、髪型、化粧、肌、全部やる、もっともっと可愛くもっともっと綺麗になる、天音が喜ぶから、天音が笑顔になるから。
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「やっぱり変」
「な、何が?」
「渡ヶ瀬君って異常だよね最近」
「異常って失礼な、僕は正常だよ!」
「いいや、変だって、だって……どんどん可愛くなってる……前は眉を整えたりしてなかっそれにその肌? 何? そのしっとり肌、羨ましすぎるんだけど?」
「そ、それは……まあ、高校生になったんだから、すこしはお洒落に」
「だから彼女作ったと……いい加減認めなよ、そして誰か言いなよ、楽になれるから」
学校来て休み時間に度に始まる縁の取り調べ……朝はなるだけ遅く登校してるので昼休みがメインなんだけど、もう毎日毎日……そろそろ勘弁してくれえ。
「何度も言ってるけど、言わないよ、絶対に言わない、別れさせるなんて言う奴に言えるわけないでしょ!」
そう言うと縁は周りを見回し小声になる。
「そろそろ私じゃ皆を押さえきれなくなってるんだよ」
「そ、そんな事言われても」
「今日予定ある?」
「え? えっとないけど……」
天音とのお茶会以外は無いけど……
「じゃあここで待ち合わせ」
そう言って縁から綺麗に折り畳んだ手紙を渡される。
「そろそろ言った方が懸命だよ、皆納得しないよ~~」
僕に紙を渡した直後、縁は声を元に戻す、いや、もっと大きな少し白々しい感じで、皆に聞こえる様に言いながら僕から離れ女子の集団に戻って行った。
そして皆で僕を見て話し始める、じろじろと僕を見て、それを僕は今まで嫌われて陰口をたたかれているって思っていた、憎まれていると思っていた……けど、……うわ、なんかまた何人か泣いてる……マジで?……本当になんだかわからない状況、なんなのアイドルって……
そんな複雑な思いを抑え、僕は縁から貰った手紙を皆にバレないように広げ中身を読んだ。
『放課後この店で待ってる、渡ヶ瀬君の今後と妹について話そう』
喫茶店の住所と簡単な地図と一緒にそう書かれていた……やはり来たか……
縁……どうしよう……全部言った方が良いのか、それとも誤魔化した方が良いのか?
縁は僕と天音の味方なのか、それとも……敵になるのか……
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