*ひとみ に うつる だれか の

 前略




 タカシです。





 あれから、絶賛(?)軟禁状態に陥っています。



 与えられた場所が、古き良き時代の日本家屋でいうところの離れにあたりそうな庵室あんしつみたいな場所でした。



 初日に案内された以降、凜とした方からは、ある程度は自由にしても良いらしいとのことだったのですが、安易に立ち入っては危ない場所があるらしく、必ず付き添いとなるモノと一緒に行動する様にと厳命されています。



 そう説明を聞いた後に、そばにいた付き添われる方々が、袖に両手を隠すような格好で軽く会釈をされて頂いたのですが、顔の部分に文字らしき物が書かれてある布を被っているために、表情などがよくわかりません。





 そうして、軟禁生活がスタートしました。




 いただく食事もありふれた物に思えたのですが、豪勢というよりは質素な見栄えにもかかわらず、簡素に見えて手の込んだ品物ばかりという代物で、現代社会においては、健康的な食事といえるものだと思います。




 食事がまともにできるという点では、あの時よりだいぶマシと感じてしまいます。

 そう、地べたに広がったモノをすするとか、パン切れと味のしないスープとかよりは・・・



 他には、スマホの電波が圏外なためか、通信機器がまともに動作しませんが、それでも過去に経験した軟禁状態よりもかなり良い待遇な軟禁という形です。



 正直、軟禁(?)な気がしないでもありませんでしたが、あの白い空間や狭い石積み部屋を思い返せば、まだましかもしれません。




 ・・・

 これ、俗にいう"世捨て人"(僧侶?)という状況なのではないしょうか?





 そもそも、あれからどれぐらい経ったのでしょう?


 とりあえず、一週間は過ぎ去ったと日数を数えていましたが、それ以上は感覚が分からなくなってきています。


 なにしろ、スマートフォンで日付を確認しようにも、表示がとまったままという不思議現象が起きていましたし、それなのにゲームアプリなどが普通に動いているという状態です。



 そして、一週間といえば、盆休みはとうに過ぎ去ってしまっているはずで、このままでは無断欠勤扱いになってしまうと、連絡をとろうとしてみても圏外表示のままで連絡がとれそうにありません。




 正直、そちらの方が怖いです。




 付き添いの方に連絡したいなりの話をつけてみるも、"御屋形様に確認を取ります"と言われ、翌日には"御屋形様からは、もうしばらくお待ちくださるように、と"言われました。


 また、その後日には、当人から"その点に関しては安心しろ、悪い様にはならない"伝えてこられました。



 説明を聞いた時にも、確かにそういった嫌な予感というのを感じはしないので、手を回してくれていて、大丈夫なのだろうと思っておきました。




 そうして、何事もなく、だらけ切った日々(?)が過ぎていきました・・・


                                  草々




追伸:

 やはり、だらけ切っているのは不味いなぁと思いなおしては、

 身体を動かそうと敷地内にあった道場をお借りし、

 子供の頃行っていた剣道の練習を思い出しながら素振りなどを行っていました。


 いつのまにか、凜とした方も稽古をつけると称して駆付けられ、

 軽く動かすつもりだったのが、何故か重くなっていきました。



 翌々日・・・には、寝室からまともに動けなくなりました・・・



 (( A ))):背中イタイ…足イタイ…腰イタイ…身体中イタイ…イタイ…イタイ…

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