とりい の むこうに しろい くも?


 前略




 タカシです。




 参道に表れた存在(餓鬼?)に対して、チリチリとした"危険信号"が発せられていたため、急遽、失礼ではありますが本堂の中に隠れる行動に出ていました。



 そうして、隠れた場所から覗き見するも、参道に居座っている存在は、幻影などではなくその場に確実に存在している様でした。



 ただ、こちらに気づいてはいないみたいで、何かしら探しているのか、あたりを見回しては土を掘り返し、掘り返した後は再びあたりを見渡すという行動にでている様でした。





 さて、どうしたものでしょうか。

 本堂に隠れるまでは良かったのですが、この本堂から身動きがとれなさそうです。



 社務所すらない寂れた神社です。



 人なんてめったに来ることは無かったと記憶しています。

 それに、ああいう存在をどうにか出来る方法があるのかすらわかりません。



 例の粉微塵チートも無くなった自分としては、かかってくる火の粉を払う能力が、確実に無いと断言できます。



 救いがあるとすれば、この本堂の中だけが嫌な予感が皆無といっていいほど、なつかしくも心が落ち着ける何かを感じているという点でしょうか。



 このままこの場所に居るわけにはどうにかして、この場所を離れたいのですが、その行為すら危険であると"嫌な予感"が訴えてきます。




 "さて、どうしたものか・・・"と、餓鬼の行動を視認しながら悩んでいると、"お困りかの?"という、声が背後から聞こえてきました。



 声の方へと向き直すも誰もいませんでしたが、祭壇に祭られている鏡が光っている様にも見えました。




 "貴様であるか、ならばすくってやろうぞ"




 そんな声が聞こえたかと思えば、祭られてある鏡を中心に世界が一瞬グニャリと回ったかと思えば、突如現れた鳥居をくぐっては、どこかに移動している様な映像が流れていきます。



 そうして、どこかで見た本堂の扉を開けて中に入っていった感じがしたと思えば、そのままそこで記憶がなくなったのだけは覚えています。




                                  草々



追伸

 気が付いた時は、良い香りがする黒髪の巫女装束姿の女性の膝枕、

 そして頭をなでられているという状態でした。

 "な・な・な・・・な・・・スイマセン!スイマセン!"と咄嗟に離れると、

 "気にするでない。我と貴様との間であろう?"と、丁寧な笑いで返してこられ、


 ”今しばらくは現是げんぜには戻れん。昔の様に常世こちらにしばらく泊まって行け"と、

 

 そう言われては、凛として"どこか見覚えのある場所"に案内されていきました。





 ('A`;):というか、どなた様でしょうか?まったく…記憶に…ございません…


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