少年期[1016]たまったものではない
「っ……何か、いるな」
ロルパに到着してから数日間、ゼルートたちは適当に冒険者ギルドで依頼を受けながら、それとなく大魔導士の杖に関する情報を集めていた。
それから数日後……森を探索している中、ルウナが匂いで何かしらの気配を感じ取った。
「………………本当だ! 何か、いるね」
魔物を殺し、取り込んだことで嗅覚上昇のスキルを手に入れ、それを使用したラームも同じく、何かしらの気配を感じた。
ただ、なんの気配かまでは解らなかった。
「……アレナ、感じるか?」
「感じないわね。ルウナ、本当に魔物……もしくは周囲に人間がいるの?」
「あぁ、確かにいる」
「いるね~~」
ルウナとラームは、とりあえず何かしらの気配がすると答える。
ただ、ゼルートとアレナだけではなく、ゲイルやラルも二人と同じく魔物や人の気配は感じない。
「っ、疾ッ!!!!!!!」
動いた、襲ってくる。
野性の反射神経で感じ取り、ルウナはラルを襲おうとしていた魔物の襲撃を防ぐことに成功。
「助かりました、ルウナさん」
「怪我はないか」
「えぇ、勿論です」
「……………」
姿を現した魔物は一体の虎だった。
勿論、ただの虎ではない。
「名前は……イレースタイガー。ランクはBだな」
「ランクBの魔物、ねぇ……どうやら、思ってた以上にルウナたちが楽しめそうな場所なのかもしれないわね」
「だな。んで、俺たちがあいつの存在に気付けなかった理由は、多分隠密のスキルレベルが七だからだ」
「っ!!?? なるほどね。それは、私やゼルートじゃ気付けなくて、ルウナやラームでも存在だけしか気付けず、細かいところまで把握出来ないのも納得ね」
色々と出来るゼルートではあるが、隠密や捜索に関してはスペシャリストではない。
気配感知などのスキルや、火の魔力を応用して熱感知なども出来るが、隠密のスキルレベルが五以上にもなると、そういった部分も気付かれず薄く出来る。
「ゼルートっ!! こいつとは私が戦る!!!」
「オッケー、任せた」
当然、ルウナは一人で戦うつもりである。
ルウナ一人であっても、Bランク魔物を討伐することは……楽な仕事ではないが、命を全ベットしなければ勝てない程の相手ではない。
ただ……今回の襲撃者であるイレースタイガーは、他の個体と比べても隠密のスキルレベルが高い。
故に、なんとか匂いを感じ取れたルウナであっても、必ず捉え勝てる保証はない。
「ふっふっふ……上等だッ!!!!!」
冷汗は流れない。代わりの闘争心が更に燃え上がる。
ルウナは野性の勘を鋭く尖らせ、構えた。
(……また消えた。いや、気配を決して隠れてるんだろうけど…………凄いな。なんて言うか、カメレオンみたいな
感じか?)
イレースタイガーは自身に強烈な戦意をぶつけてくる相手を一旦標的と定め、他の人間たちは後で殺すと決めた。
「あんな魔物もいるのね」
「アレナにも知らない魔物がいるんだな」
「ゼルートより冒険者経験は長いけど、別に魔物博士じゃないからね」
「それもそうか。にしても……まるで暗殺者みたいな虎だな」
ゼルートの表現に、本当にその通りだと思いながら頷くアレナ。
「そこら辺の暗殺者よりも気配が上手いでしょうね。生まれ持った性質と、スキルレベル七の隠密が重ね合った結果ね……腕の立つ暗殺者が、更に気配を消す為の高ランクマジックアイテムを装備したと言ったところかしら」
「狙われた奴からしたら、たまったもんじゃないな」
「加えて、スピードはあるけどパワーそこまでないザ・暗殺者ではなく、虎というスピードとパワーにも優れて、自前の刃がある暗殺者よ」
「ん~~~~~……これでランクがBじゃんくAだったら、間違いなく複数人で戦わないと案件だな」
「本当にね」
二人とも、Aランクではなくとも、Bランクでも十分危険だということは解っている。
理解しているが……それでも、現在一人で戦っているルウナが負けるとは、思っていなかった。
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