兄の物語[55]どう倒す?
(はっ!!!!!)
自分だけに狙いがロックオンされていると解っても、ペトラは焦らず指先に風の魔力を集中させ……発射。
「「っ!!!???」」
(ふぅ……我ながら、悪くない狙いだったみたいね)
基本的な魚系の魔物が相手である場合、正面から頭部を撃ち抜くのは難しい。
ペトラもクライレットに負けず劣らずの魔力操作技術を有しているが、今この場には二人しかいない。
クライレットの魔力操作技術を不安に思っている訳ではないが、それでも自分だけで対処出来る内容であれば、自分の力だけで対処したい。
(今、もしかして……魔物の側面を狙ったのか!!)
頭部を、脳を撃ち抜くのが一番の仕留め方ではあるが、側面から貫いて頭部付近であれば……基本的に一撃で仕留められる。
(上手くいけば一発で仕留められる。頭部か頭部付近を貫けなくても、魔物の動きを絶対に鈍らせられる。ナイスな狙撃方法だね)
また直ぐに死体を回収し、水漣華を探す二人。
(…………ん~~~~。余裕があるうちに、息継ぎしておいた方が良いかな)
遊泳スキル、これまで高めてきた身体能力の逆さのお陰でまだ余裕はあるものの、二人は一度水上へ戻った。
「ふぅ~~~~。ペトラ、さっきの打ち方ナイスだったね」
「でしょ。とはいえ、あれぐらいの魔物が来てる間に、さっさと見つけたいわね」
「そうだね……よし!!!」
再び大きく酸素を取り込み、探索開始。
(そりゃあ、私だって水中での戦闘も大事な経験だと思うけど……今はまだ、勘弁してほしいのよね)
他の三人ほど、強敵との戦いに積極的ではないペトラだが、上に行く為にはその経験が一番の力に変わる事を知っている。
だからこそ、今までBランクの魔物と遭遇してきても……結局のところ完全逃走は提案しなかった。
しかし……水中という、圧倒的に不慣れな場所では、BランクどころかCランクの魔物との戦闘すら避けたい。
(クライレットならっていう期待はあるけど、今はクライレットと二人っていう状況でもあるし)
特にそういった浮ついた心などある訳がなく、ただ心には事前に集めていた情報通り、Bランク以上のモンスターは生息していないか、という不安のみ。
(ん? あそこ……)
何かに気付いたペトラはクライレットの肩を突き、何かを感じた方向を指さす。
(っ……あそこだけ少し光っている様な………………ただ、どう見ても他にも居るね)
少々離れているため、はっきりとは見えない。
しかし、それらしい何かが見えた二人。
とはいえ……どうやら世の中、そう簡単に事は運ばない。
二人は水上に戻り、呼吸を整えながら少し離れた場所に見えた光と物体について話しあった。
「あれ……水漣華だと思う?」
「特徴と一致はしてる。ただ……傍に、大蛇らしき物体が居たね」
「そうね。あの大蛇? 時間が経ったら離れないかしら?」
「見た感じ、物凄くゆったりしてたから……多分、水中でも呼吸が出来るタイプかもしれない」
「シーサーペントの親戚、ってところかしら」
「もしかしたら、シーサーペントかもしれないね」
それはあり得ないと言いたい顔をするペトラ。
湖? と思ってしまう程広いが、それでもここは海ではない。
ただ、魔物は時に自分たちの想像を越える進化をしてくる。
「……もしくは、成長して水中に適応した大蛇って可能性もあるわね」
「おっと、その可能性を忘れてたよ。とにかく、それなりに強いことは間違いない。それで、どう倒そうか」
「どうにかして地上に戦場を移せないかしら」
「………………多分、難しいだろうね」
ちょっかいをかければ、当然追いかけられる。
水中では当然の様に大蛇の方が遊泳スピードは速い。
二人が全力で泳ぐことに集中しても、大蛇に遠距離攻撃の手段がないと断言出来ない以上、泳ぐことだけに集中は出来ない。
(……うん、なしだね)
大蛇の方を見て対応しながらも、全力でバタ足して陸地へ向かうという案とイメージが浮かんだが、あまりにもシュール過ぎる光景だったため、即却下した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます