少年期[922]挑戦ではなく調査
「とりあえず、十層のボス部屋に到着したな」
十日ほど時間をかけ、ようやく十層のボス部屋前に到着。
ゼルートたちの実力、移動速度を考えれば遅過ぎる行進速度だが、未知のダンジョン……度々地上へ戻ることを考慮すれば、妥当な時間と言えなくもない。
「……なぁ、どんな奴がボスだと思う?」
「そうね……ランクは最低D。おそらくCで……Bはない筈」
ボス部屋前までに到着する道中、回数は多くないが、Cランクの魔物と遭遇することは何回かあった。
ゼルートたちからすれば、特別強い相手ではない……が、地上に生息するCランクの魔物と比べれば、ややレベルは上。
間違いなく、弱い存在ではない。
「そうか? 私としてはBランクの魔物がボスでもおかしくはないと思うが」
「普通に考えて、十層のボス部屋でBランクのモンスターが現れることは、まずないのよ」
ルウナの意見を、バッサリと一刀両断。
ダンジョンとは……人の欲を刺激し、徐々に徐々に下へ下へといざない……引き返せない場所でぱくりと探索者たちを食べてしまう。
それは幾つかのダンジョンを探索したことがある者であれば、常識中の常識。
一階層から十層までは、基本的にチュートリアル内容。
そんなアレナの考えは……一応間違ってはおらず、例外はあるが、概ね正しい。
ルウナもそれは解っていつつも、常識よりも願望が勝る。
「ボスのタイプは……ゲイルと同じ、リザードマンか?」
「ふむ……可能性としては、ありそうですね」
仮に本当に十層のボス魔物が同種のリザードマンであっても、ぶった斬る準備は出来ている。
「密林っていうのを考えると、蛇系の魔物がボスじゃないかしら」
「ポイズンスネークはDだから……そうだよな、おそらくCランクだもんな」
過去に戦った最強の蛇系魔物、キングヴェノムサーペントが脳裏に浮かんだが、ダンジョンの探索者を下へ下へと誘惑する特徴を考えれば、十層からAランクの魔物が現れることはあり得ない。
「……存外、四つ足の魔物かもしれないぞ」
「四つ足の魔物かねぇ。ボス部屋中はおそらく密林でしょうし、あまり考えづらいけど……でも、絶対にないとは言えないわね」
いったいどんな魔物がボスなのか、あれこれ考察すること約五分。
兎に角中に入ろうという、当たり前の結論に至り、ボス部屋へ入室。
「なるほど、そういうのもありか」
ボス部屋の中は密林……ではなく、幾つかの小島がある沼地。
そんな部屋の中に待ち構えていたボス魔物は、四体の鮫だった。
「あれは、確かダイドシャーク!」
「ダイドシャークって……密林とか沼地に生息する珍しい鮫、だったか」
「そうよ。ここにくるまで全然見なかったから、すっかり忘れてたわ」
沼地という環境に生息する珍しい鮫。
ランクはCと、十層のボス部屋に現れるモンスターとしては……珍しく強い。
数も四体と少々多く、なによりただ強いだけではない。
「初めて戦う魔物だな……まっ、予定通り直ぐに殺さず色々確認するぞ」
「「「「「了解」」」」」
ゼルートたちは固まって行動せず、一旦各自自由に動き始める。
それが合図となり、地上に出ていたダイドシャークたちも、各々自由に動き始めた。
(ただの泥沼地帯ではなく、大体等間隔に小島がある。空を飛んで駆けることが出来る俺たちにはあまり関係無さそうだが……一般の冒険者たちには、命綱となるか)
基本的にダイドシャークとの戦闘によって、戦闘欲が満たされるとは思っておらず、これまでのマッピング作業などと同じく、情報を得るためにわざと泥沼をゆったりと歩いていた。
(……まだ、十分歩くことが出来る。攪乱目的で、少し走ってみるか)
泥の中を遊泳しているダイドシャークの一人が、既にゼルートをロックオン。
動き回り始めた標的に狙いを定め、いざ捕食!!!
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