少年期[899]あっさり消えた
(……ここか)
フェイクなども完全に見破るゼルートの鑑定眼があれば、寄生虫の有無など一発で分かる。
魚の解体に関しては、料理のスキルを習得していることもあり、最初から捌き方が解っているかのような動きで素材を無駄にすることなく終了。
(一応モンスターなのに、謎の感覚だったな……俺には、魚は魔物であろうと、結局は魚というイメージが強いからか?)
魚類系の魔物を解体した時の感覚を不思議に思いながらも、複数体の解体を一気に終わらせていき、その間に米の準備も終わった。
「ゼルート、良い感じに炊けているぞ!」
「よし! それじゃ、盛り付けていくか」
捌いた刺身は種類別に皿に並べており、その量は……優に十人前位以上はある。
「ねぇ、ゼルート……ちょっと多過ぎない?」
「なんだ、アレナは腹減ってないのか」
「いえ、お腹は空いてるわ。でも……刺身? の量も米の量もちょっと多過ぎると思って」
米は十合分炊いてあるので、一人三合食べても余る計算。
「別にその辺は心配しなくても良いよ。早く食べよう」
絶対美味いという確信があるため、ゼルートはどんぶりに米を入れ、刺身を盛り付け……醤油を垂らす。
山葵もお好みで置いているが、子供舌のゼルートはそのまま食べる。
「……うん、美味い!!!!」
米と一緒に醤油を付けた分類上ではサーモンに入る魔物の刺身を食べ、その美味さに思わず声を上げる。
「ゼルートの言う通りだ! これは美味い!!!!」
ルウナも同じく、海鮮丼を食べた感想を抑えきれず、大きな声で何度も美味いと言ってしまう。
「お、美味しいわね」
もう少し静かにしたら……と言いたいところだったが、海鮮丼の美味さにアレナも衝撃を受け、二人を咎めることはなかった。
「この山葵? っていうのも悪くないわね」
「むぅ……私は遠慮しよう」
ゼルートと同じく子供舌のルウナは遠慮し、残りの海鮮丼を完食し、五分と経たずにおかわり。
「あぁ~~、いくらでも食べられる」
ゼルートも次いでおかわり。
あまり早食いは体に良くないと分かっているも、その手は止まらない。
「本当に、全部食べ切れちゃいそうね」
次に「多過ぎない?」と言っていたアレナもおかわり。
三人ともあっという間に海鮮丼を食べていき……一時間も経たず、十合の米はあっさりと消えてしまった。
「ふぅ~~、そこそこ食べたな」
「そうだな。まだ食べられそうだが、一旦ここまでにしておこう」
刺身はまだ残っているが、米は完全に消えてしまった。
残った刺身は亜空間に保存することも出来るが……皿に乗せてしまった分は、今食べてしまおうと決めたゼルート。
「刺身だけなら、ありだな」
当然ルウナも再び箸を取り、余った刺身を醤油に付けて食べる。
「はぁ~、これだけ一気に食べたら、さすがに太りそうね」
「冒険者なんだから、直ぐに消化できるだろ」
まだ時間は夕方になっておらず、三人とも海鮮丼を食べる速度が速かったこともあり、もう一狩りする時間は十分にある。
「俺はもう一度潜ろうと思うけど、二人はどうする?」
残った刺身も食べ終わり、ゼルートは腹ごなしにもう一度海に潜って魔物……もとい食材を手に入れようと決めた。
「ふっふっふ、当然行くに決まってるだろ」
海鮮丼のインパクトが強く、また違った味の海鮮丼が食べられるならばと、ルウナは迷うことなく本日二度目の狩りを行うと即決。
「アレナはどうする?」
「この流れ、行かないって言うわけないでしょ」
二人の意見に流されたという訳ではなく、アレナ自身がもう一度海に潜って魔物を狩りたいと思った。
「よし! 行くぞ!!!」
この日、三人は夕日が沈むギリギリまで狩りを続けた。
当然、自分たちだけで海鮮丼を楽しむわけがなく、ゲイルたちにもあげた。
朝と夜も食事のメニューが魚メインであるため、しばらく魚漬けの日々が続く。
そして十日後、久しぶりにギルドの依頼を受けておこうと思ったゼルートたちは、三人で冒険者ギルドに訪れた。
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