少年期[898]強者も恐れる場所
「そんじゃ、そろそろ狩りに行くか」
リゾート地に休息しに来たゼルートではあるが、海も数日間は泳ぎ、遊べば飽きが来るというもの。
偶に知名度故に逆ナンされることもあったが、あまり興味を持てない相手だったこともあり、華麗にスルーしていた。
そして本日、いよいよ本格的に体を動かそうと決めた。
これに関しては、アレナもラルフロンに来れば、海中のモンスターと戦う時が来るだろうとは思っていたので、特に文句は言わなかった。
ちなみにゲイルたちがここ数日間、昼間から夕方にかけて離れた海で水中モンスターを狩っていたので、食料自体は既に大量に持っていた。
「よっしゃ!!!」
気合を入れて水中に飛び込み、勢い良く泳ぎ出すゼルート。
(っ! 買ったマジックアイテムの効果……結構馬鹿にならないな)
膨大な魔力量と器用さを利用し、幼い頃から偶に水中で動きに関しては鍛錬を積んでいた。
基本的な動きは海中の中でも行えるが、現在水中専用のマジックアイテムを身に付けたゼルートは、予想以上の水泳スピードに驚いていた。
ゼルートたちはリゾート地に含まれる海域から直ぐに離れているため、水中の透明度はかなり低くなっていた。
それでも、全く見えない程ではない為、獲物を探すことに苦労はしない。
(見つけた!!!)
マジックアイテムの効果で得た水中での速さに加えて、風魔法で更に蹴る時の速さを強化。
魚系のモンスターが反撃、もしくは逃げる前に追い付き、あっさりと命を奪い、亜空間の中へ回収。
(恐ろしい程速いわね。水中で風の魔力を使って加速の技は、誰でも一度は思い付くけど、そう簡単に身に付かないものなのに……まっ、それはルウナも同じね)
隣付近では、ルウナも直ぐに海中での動きや、風の魔力を利用した加速をマスターし、獲物を次々に仕留めている。
二人の動きに驚きを感じているアレナだが、アレナもアレナでブランクがあるにもかかわらず、水中での動きに錆はなく、二人と同じ様に夕食になる魚たちを狩っていた。
他者と比べて、潜水できる時間が長い……という理由の他に、ゼルートは風の魔力を応用し、顔周辺に簡易酸素ボンベ装着。
アレナとルウナにもそれを渡しているため、三人は平気で一時間以上は海の中で泳ぎ続けられる。
冒険者にとって、水中でモンスターを戦うには十分準備が必要になる。
そもそも遊泳というスキルを習得していなければ、筋力だけでは直ぐに限界が来る。
直線的にしか動けないこともあり、遊泳の習得は必須。
そして遊泳を習得しても、水中では武器を振るう動作が地上と比べて遅れる。
故に、魔法……魔法の中でも、風と水属性が有効なのだが、魔法をメインとする者たちは、基本的に体を動かすのが得意ではない。
なので、普段はモンスターたちを相手に怯えず戦う冒険者や騎士たちであっても、水中では少々恐怖を感じるのも無理はない。
(ゼルート、そろそろ休息にしない)
ジェスチャーでアレナがそう伝えると、ゼルートはそれなりに水中モンスターを狩れて満足したため、仲間の意見を通り海面に戻り、陸地へ向かった。
「本当に、魔力操作って重用よね」
地上に戻った三人は日の魔力を応用し、温水で体や頭を洗い終えた後、直ぐに乾かすことに成功。
火魔法のスキルを習得していても、魔力操作で応用が出来なければ、不可能な芸当。
「それで、ゼルートはどんな昼食を作ってくれるんだ?」
「海鮮丼って奴だ」
「海鮮丼、丼……なるほど、あぁいう料理か」
ゼルートが創造のスキルを使用して、米料理を食べたことがあるルウナは、海鮮丼をなんとなく頭の中でイメージ出来た。
この世界の一般常識として、魚は生でも食べられるが、食べた後でお腹を壊すケースが多いため、殆どの者が食べない。
しかし……ここでゼルートは鑑定眼をフル活用し、その不安を解消してみせた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます