少年期[836]囲まれる……と思ったが
「というか、やっぱり二人とも騎士になったな」
「そうね……冒険者になった頃は、まさか騎士になるとは思ってなかったわね」
「……そうだな。私も同意見だ」
アレナは冒険者として上を目指そうという気持ちは元から持っていたが、そこから更に騎士の爵位を手に入れよう……なんて考えまでは持っていなかった。
ルウナはゼルートと一緒にいれば、冒険者として高みを目指せると考えていた。
しかし、元王女である自分が騎士になる……なんて未来は、一ミリも想像していなかった。
「まっ、騎士になったからって、どうこう生活が変わる訳じゃないと思うぞ。今まで通り冒険者として活動して……もし、国に危機が訪れたら動く。それだけだ」
「それもそうね。国に危機なんてそうそう訪れないでしょうし……大丈夫でしょう」
(アレナ……それは思いっきりフラグだと思うんだけど)
パーティーメンバーが思いっきりそれっぽいセリフを口にし、また今回の様な戦争が近々起こるのではと思ってしまったゼルート。
いやいや、そんなことないだろう……そう思いたいものだが、ゼルートは自分がこの世界に転生してから、戦争に参加するとは予想していなかった。
全くもって想定外なイベントだったという訳ではないが、前世の記憶もあってそう簡単に国同士の喧嘩なんて起こらないと思っていた。
しかし、まだ十代のうちに戦争が起こり、参加。
そして友人、家族の為に思いっきり暴れに暴れ、自国の勝利に大きく貢献した。
「戦争などの危機でなくとも、モンスターの大群などは発見されれば、対処しなければならないだろう」
「そういう件でも、確かに騎士や男爵の爵位を持つ者として……いや、そんな話が耳に入ったら、別に爵位とか関係無しに俺たち、現場に向かうよな」
「……はっはっは! それもそうだな」
本日、三人とも国王陛下から爵位を授かったが、それでも変わらず冒険者として活動する。
なので……モンスターの大群が暴れ出したりすれば、爵位など関係無く、冒険者として殲滅しに向かう。
そんなことを考えていると、祝勝会が行われるパーティー会場へと到着。
先程まで国王陛下との対面という、とても緊張する場面から解放されて和んでいたゼルートだが、パーティー会場に入る前に、もう一度深呼吸を行った。
「……よし」
呼吸を整え、いざ入場。
すると、当然と言えば当然なのだが……中で既に集まっていた貴族たちの視線が一気にゼルートと、後ろに付いている二人に集まった。
(はぁ~~、一般の人たちの視線が集まるのと違って、貴族たちからのこういう視線をたくさん向けられるのは、正直気持ち悪いな)
なんて思いながら、さてどうしようかと悩む。
ゼルートとしては、さっさと両親と合流したい。
とはいえ、ガレンとレミアも今回の戦争で活躍したため、注目の的。
故に、既に多くの貴族たちに囲まれている。
(大変そうだな~……父さん、母さん。ご愁傷様)
父と母に向かって、心の中から合掌を送る息子。
しかし、ゼルートも直ぐに同じ目に合う……と思っていた本人と、その仲間二人。
だが……意外にも多くの視線は向けられるが、中々ゼルートの元に訪れ、挨拶をしようとする者が現れなかった。
その理由はいったい何なのか……それは、ゼルートが過去に起こした件が、一つの原因。
過去にダル絡みしてきた同世代の令息を相手に、三対一で完封。
当時の戦いを観ていた者たちは、全員……あれは戦いではなかったと答える。
制圧、虐め、駆除、制裁。
おおよそ、戦いと呼べる内容ではなかった。
そんな恐れが一つ。
他に……今回の戦争で、ゼルートは過去の例にないほどの活躍を見せた。
戦争で活躍する前までは強過ぎる冒険者というのが世間の印象だったが、今回の一件でゼルートは貴族の一員から……貴族になった。
自分たちでは到底成し遂げられない偉業を成し遂げたゼルートに対し、敬意を抱くからこそ……中々話しかけられないという思いが彼ら、彼女たちにはあった。
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