少年期[649]威力と質を調整
「おらおらどうした、こんなもんじゃないだろ」
「ッ!!!!」
バチバチに斬り合うゼルートとジェネラル。
ゼルートはフロストグレイブ意外にも、少し前まで使っていたホーリーリビングデットナイトが持っていた剣を抜き、二刀流で戦っている。
対するジェネラルはゼルートから見て大盾に分類する盾を上手く使い。二刀から放たれる斬撃を防御するだけではなく、反撃まで行っている。
だが、ほんの少しずつではあるがゼルートの斬撃が鎧に刻まれ始め、戦況は徐々にゼルート側が有利になり始めている。
お互いに身体強化は使っているが、ジェネラルは身体強化以外にも耐久力強化や斬撃強化などのスキルを並行して使っているが、それでやっと互角に近い。
剣術スキルの技や不意を突いて盾による攻撃も行っているが、それが敵に当たることはない。
「おらっ!!!」
「ッ!!! ……」
フロストグレイブとナイトが持っていた長剣を同時に叩きつけるような斬撃を寸でガードするが、威力を完全に殺し切ることは出来ずに後ろへ押されてしまう。
「良いねぇ……これにも耐えるか」
「……」
絶えることには耐えたが、完全に力負けしている。
その現実がジェネラルに焦りという感情を与えた。
それに加え、ゼルートが遊び感覚でジェネラルと戦っている間に他の魔物たちは全てルウナたちの手によって全滅。
残りは自分一人……その状況が更に焦りを加速させる。
「ッ!!!!」
相手の態勢を崩しておらず、完全な力押しによる攻撃。
しかし、その威力は絶大であるホーリークロスジャッジメント。
聖剣術、もしくは剣術と聖魔法のスキルを持つ者だけが放てる聖なる一撃。
十字の聖なる斬撃が高速で迫る中、相変わらずゼルートの表情は変わらない。
「ホーリークロスジャッジメントか。それならこっちは氷と聖なる魔力の十字斬だ」
フロストグレイブとナイトが持っていた長剣をほぼ同時に振り、氷魔の斬撃と聖なる斬撃が重ねった斬撃が放たれ、ホーリークロスジャッジメントと衝突。
「名前は……フロストホーリークロス? って感じか」
結果はゼルートが放ったフロストホーリークロスが勝り、ジェネラルは威力が弱まった十字斬を大盾で受け止めたが先程と同じく威力を殺すことは出来ず、大盾は中に弾かれてしまった。
「隙あり」
僅かな瞬間を狙い、フロストグレイブを振るう。
すると地面に氷が走り、ジェネラルを氷漬けにしてしまった。
ゼルートにとっては大して魔力を使っていない拘束。
ジェネラルも身体能力が低下したわけではないので、氷の檻から無理矢理砕いて抜け出す力は持っている。
だが……その砕いて抜け出す間にゼルートは魔石の正確な位置を把握。
ナイトの長剣で氷と鎧部分だけを丁寧に突きで砕き、次にフロストグレイブをその穴に刺し、魔力を伝わせて魔石を凍らせてゲット。
「ほい、これで終わりだな」
魔石を抜かれた魔物が活動することは出来ず、ジェネラルの体は氷の檻に閉じ込められた。
「トリッキーな倒し方ね」
「突きの威力と纏う魔力の質を調整しただけだ。後はフロストグレイブに魔力を通して氷で魔石をゲット。氷は溶かせるしな」
氷漬けになったジェネラルの素材は勿論使えるので、しっかりと氷を溶かしてアイテムバッグの中に収納。
「それにしても、皆倒すの早かったな」
「アークリッチと言えど、魔法を放つのに少々時間が掛かり過ぎですね。途中から魔法合戦には飽きました」
アークリッチはBランクの魔物なのだが、ラルの前では威力だけは高い魔法を放つ砲台、という印象しか感じなかった。
「こっちはアレナが暴れ回って大活躍だったぞ!!」
「ちょっと、私よりルウナの方が暴れていたと思うのだけど」
「いや、今回に関してはアレナの方が多く倒していた。ゲイルやラルもそう思うよな」
「そうですな。今回のアレナ殿はどこか鬼気迫るものがありました。どう考えても私たちより多くの獲物を
仕留めていました」
「僕もゲイルと同じ感想!! 今日はアレナが一番暴れてた!!!」
素直なラルからハッキリと言われれば、さすがのアレナも一番過激に暴れていたと認めるしかなかった。
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