少年期[643]固まるか分散するか
「ふぅーーー、食った食った」
五十一階層に転移し、初日を終えてベッドにダイブ。
夕食をがっつり食べたので、少々眠気がいつもより早く襲ってきた。
「あら、もう寝るの?」
「ん~~……もう少し起きてると思う」
「そう。にしても、やっぱり五十一階層からは攻略が面倒ね」
「私は楽しいぞ!!!」
「それは解ってるわよ。何度も聞いた……でも、下層なだけあって魔物のレベルは高いし、罠も尋常ではない……そうなんでしょ」
「あぁ、そうだな。範囲が広かったり、狭くてもえげつないのが多々あった。魔物たちが食らえば一発でお陀仏になるようなのもあったな」
真の下層ということもあり、罠に引っ掛かれば即死するケースも多い。
ゼルートは罠の場所を感知した後、偶に鑑定眼で軽く調べることがあるが……背筋がゾッとする様な罠を何度も視た。
(魔物どころか、高レベルの冒険者でも殺しそうな罠だってある。今までの階層で視てきた罠も温くはなかったけど、五十一階層に突入してから罠のレベルも格段に上がった)
罠によって即死するケースが増えると、戦いの最中にそちらの方も警戒しなければならない。
ゼルートの様に事前にどんな罠か理解していれば、それを利用して魔物を討伐する猛者もいる。
しかし激しい戦いの中で少し前に発見した罠の細かい内容を思い出し、戦いに利用するのは中々に難易度が高い。
(転移系の罠が珍しくなくなってきた。転移系って発動するまでに多少の……本当に多少の時間があるみたいだけど、皆で跳ぶために魔法陣に集まるか分断するか……多分凄い迷いどころだよな)
転移されれば、どこに跳ぶか分からない。
現階層よりも更に下の階層に跳ばされるのか、それとも上の階層に跳ばされるのか……それとも、モンスターパーティー状態の部屋に跳ばされるのか。
ボス部屋跳び越えて転移することもあるので、絶対に敵わない魔物たちがうじゃうじゃと潜んでいる階層に跳ばされて死ぬ場合もある。
「罠はなんとなく……うん、なんとなく感じるものじゃないのか?」
「……まさに野生の勘ね。普通は無理よ。罠感知を使わなかったら気付かないことが多いわ。それなりにダンジョンに潜っているから微妙な違和感に気付くことはあるけど」
「アレナのそれは野生の勘というより、冒険者としての勘だな」
「そうかもしれないわね……まっ、私は面倒でも必要以上に面倒な魔物が現れていないから気が楽ね」
それなりにレベルが上がり、基礎能力が上がっているので倒すのに多少の時間は掛かる。
しかし、全力に近い力を出さなければならない魔物とは遭遇していないので、アレナとしては緊張し過ぎず探索を行えている。
「何を言ってるんだ。熱い戦いが出来てこそ楽しいだろ!! なぁ、ゼルート」
「……まぁ、そうだな。でもルウナ、俺たちみたいなのはバトルジャンキー、戦闘凶って言うんだ。冒険者全員がそういった戦いを飲んではないなんだ。命あっての物種だからな」
「ゼルートの言う通りよ。ルウナの言う熱い戦いも、死んだら二度と楽しめないのよ」
「それは困る。ただ、さすがに死にそうだと思ったらゼルートたちの手を借りる」
熱い戦いは好きでも、まだ戦いで死んでも良いと思うほど人生を満喫していない。
ただ、ルウナが一対一の戦いで死の危機が訪れていれば、全ての障害をぶち壊して死の危機もぶち壊す。
「それでも六十階層のボスに挑む前に、Bランクぐらいのモンスターとは戦いたいな」
「五十一階層から六十階層の間であれば、そんなに遭遇する頻度が低くはないし……そのうち遭遇するだろ」
「なら良いんだが……というか、アレナはなんだかんだ言いながら闇槍を使っているのだから、楽に対処出来ているのではないか?」
「そうね……光属性の魔物が相手なら、正直かなり有利に戦えていると思う」
闇槍に闇の魔力が纏えば、大抵の遠距離攻撃は相殺で来てしまう。
勿論誰でもという訳ではなく、アレナの身体能力あってこその防御方法。
「皮膚が堅い魔物でも楽に貫けるし、悪くない槍よね」
「この辺りの階層にはいないとは思うが、闇属性の武器を持っていないパーティーからすれば、大金を払ってでも欲しい武器だろうな」
アレナの技量や身体能力が当然加味されての結果だが、使用している闇槍もそれなりの業物。
実際に欲しがる冒険者も多い一品だ。
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