少年期[624]意外と効果があった
「魔物の素材を換金したいんだけど、量が多いんだ」
「かしこまりました。ご案内いたします」
ゼルートが量が多いと言ったということは、カウンターに置けない程量が多い。
今までギルドに売ってきた素材の量を考えると、この場での換金は無理だと判断した受付嬢の対応は早かった。
この光景を見慣れていない冒険者なんだなんだと気になって仕方ないが、何が起きているのか解っている冒険者は特に驚かないが……中にはゼルートたちが本当に大量のモンスターを倒しているのか、怪しんでいる者もいる。
しかしゼルートにはラルとゲイルという、見た目からして強い従魔が傍にいる。
手を出そうとすれば、ボコボコにされるのは目に見えている。
せめて嫌がらせをしたいという馬鹿もチラホラいるのだが……意味無し。
しょうもない嫌がらせをしたいと考えている冒険者の実力では、ゼルートと同じ階層に挑むことは出来ない。
この街にやって来た目的はダンジョンの中にある。
そしてゼルートたちは既にプロ中のプロしか探索出来ないエリアで行動している。
仮に六人に奇襲を行おうとしても、そもそも同じ空間に辿り着くことが不可能だ。
ゼルートたちにとっては五十階層に生息する魔物であっても、丁度良い運動相手。
しかし、一般的な冒険者達からすれば化け物たちが徘徊する地獄にしか思えない。
ある程度冒険者としての実力が高い者であれば、銀獅子の皇とゼルートたちが衝突したという情報を入手している。
大手のクランと一つのパーティーが衝突すれば、パーティーが側が潰されるのは一目瞭然だ。
(相変わらず俺たちを……正確には俺を睨む連中が多いな)
嫉妬や妬みなどの負の感情が混ざった視線を向けられるのは完全に慣れた。
気分が悪くならない、という訳ではない。
しかし向けられているだけであれば、文句を言うことはない。
(睨む奴が多くても、俺に直接絡んでこないのはやっぱりBランクの……韋駄天のベーザルだったか? そいつを軽くあしらったからかもな……そう考えると、あいつらが一番最初に絡んできてくれたのはある意味良かったかみたいだな)
人のパーティーに首を突っ込まないで欲しいと思っていたが、ゼルートが思っていた以上に韋駄天のベーザルを軽くあしらったことが他の冒険者たちに対し、良い牽制になっていた。
「それでは、こちらのお出しください」
「分かった」
いつも通り大量に魔物の素材をアイテムバッグから取り出していく。
今回は魔物の死体だけではなく、既に解体された素材も含まれているので、解体士たちの仕事はかなり減る。
だが、それでも……予めとんでもない量の死体や素材が目の前に現れると知っていても、驚かずにはいられない光景が目の前にある。
「……凄い、ですね」
「何度見てもすげぇよ……兄ちゃんたち、ちゃんとダンジョンの中で寝れてるのか?」
目の前の死体の量を見る限り、寝ずに戦って倒してるとしか思えない。
しかし解体士の職員が思っている以上に、六人の基本スペックは高い。
「ちゃんと寝てるぞ。Cランクぐらいの魔物だったら別に武器を使わなくても、四肢に魔力を纏ってぶっ叩けば即終わりだ。だからあんたら考えてるよりも時間を掛けずに倒せてるんだ」
「魔力を纏った四肢だけで……ははっ!! 確かに欠損部位を見る限り、嘘ではなさそうだな」
長年解体士として働いていれば、傷口からどうやって倒されたのか、一目で解るようになる。
死体のままで取り出された魔物はところどころ、派手に吹き飛ばされている部分がある。
欠損部位が大きく抉れている部分もあるので、若手が一先ず血の回収作業を始めていた。
「全く、四十後半の階層で暴れてたんだろ。魔物を見れば解かる……一つのパーティーに戦力とは思えねぇよ」
「エボルサーペントも倒してきたからな。次の探索は五十一階層からだ」
「なにッ!!!???」
解体士のおっさんだけではなく、その場にいた全員が驚きの声を上げた。
思わず解体の手が止まってしまう。職務放棄をしていることになるのだが、職員たちにとっては驚かずにはいられない爆弾的発言だった。
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