少年期[511]自覚があれば問題無い
「それで、今日はどうするの?」
「まだ昼過ぎだぞ。もっと楽しむに決まってるだろ」
「で、しょうね」
ロウドとの模擬戦が終わり、素材と魔石を渡し終わり、もう一度のんびりと酒とジュースを飲みながら休んだ二人はもう一度遊び場へと脚を入れる。
「はぁ~~、本当に麻薬よね」
「ギャンブルがか?」
「そうよ。だって、ここまで一日の稼いだ額が高いのは……大乱戦の日を除けば最高額じゃないかしら」
ダンジョンの中から溢れ出したモンスターを倒した日、アレナ冒険者人生の中で最大限に力を発揮して戦い続けた。
その結果、一日では考えられない程のモンスターを倒し、その素材や魔石の買取金額を計算すれば開いた口が塞がらない状態になってしまう。
「楽をしながら稼ぐ……って訳っじゃ無いけど、それでも感覚が狂いそうよ」
「ん~~、普通の人からすれば楽にって訳じゃ無いだろ。自分の手札、相手が持ってるかもしれない手札、今この場で勝負から降りた方が良いのか、それとも勝負に出るべきなのか、今日は運が無いとすっぱり諦めるべきなのか……考えて実行しなければならない事が山ほどある」
「それは解ってるわよ。でも……このチップどうしようかしら?」
「それはアレナが自分の力……正確にはちょい違うけど、それでも持ち主はアレナのだ。休みの日に美味い飯食うなり服を買うなり武器を買うなり、好きなように使ったら良い」
依頼を受けて報酬として貰うお金、盗賊団を討伐して手に入れたお宝の中に入っているお金。それらはパーティーのリーダーであるゼルートが管理している。
しかし今回のギャンブルの軍資金はアレナがゼルートから今月の小遣いからと受け取っていたお金。
なのでギャンブルで得たチップは全てアレナの分、ゼルートはそう考えている。
「贅沢ね選択肢ね」
「アレナだって元はAランクだったんだ。ある程度余裕のある暮らしは送っていただろ?」
「冒険者全体で見ればね。それでもなるべく割の良い依頼を受けたいから朝早く起きるし、冒険中の食事はそこまで贅沢では無い。贅沢だって後々の事を考えれば今みたいには出来ないのよ」
確かにAランク冒険者にもなれば一回の報酬で得られる金額も変わってくる。
だが、高い報酬を得るための依頼を受ければ、必然的に難易度が高いものになる。
「そういうもんか」
「そういうものよ。今みたいに後先考えずにギャンブルなんて出来ないの」
「なるほど……まっ、今はその時とは違うんだし、存分に楽しんでも良いんじゃない。自分達の本業は冒険者だって自覚があれば良いわけだ」
「ふふ、もっともな考えね。それじゃ……次はバカラなんてどうかしら?」
「オーケー、楽しんで稼ぎますか」
一騒動あった五人だが、その後はまたしっかりと稼ぐ。
稼いで稼いで稼ぎ、やはり何かあるのではとイカサマ監視の従業員がそれとなく見張るのだが、ラームの姿を捉えることは出来ず、五人が勝利する度に首を傾げるだけで終わる。
そして時間が夕方になり、お腹一杯といった表情で五人はカジノから出ていく。
「あーーーー、楽しかった!!!」
「うむ、ギャンブルにハマってしまう人が出る理由がなんとなく分かったぞ。あの勝てるか負けるかのドキドキ感がたまらないんだな!!!」
「それはちょっと違……わなくも無いけど、本当にハマって溺れてしまう人は楽して金が手に入る流れに魅了されるのよ」
結局ゼルート達は合計で白金貨十枚以上を稼いだ。
日本円にして十億円以上となる。日本人で無くとも、この世界の住人であっても大半の者が羨む金額だ。
「オークション開始までまだ時間はありますし、また来れますね」
「そうだな。次来るときは闘技場や飛竜のレースで賭けてみたいものだ」
国最大の賭博街であるゴージャルではコロッセオでの賭けは勿論のこと、捕らえて完全に従わせているワイバーンによるレースも行われている。
ゲイルはそれに興味津々であった。
「よし、そんじゃ一旦宿に戻ってから全員人の姿で美味いディナーでも食べに行くか!!」
『やったーーーーっ!!!! 超楽しみだよ!!!』
四人がギャンブルを行う様子を見ていても十分に楽しかったラームだが、それでも少々の退屈感はあった。
なので美味い飯が食べられると分かり、直ぐにいつものテンションへと戻る。
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