少年期[492]良く考えればおかしく無い偶然

門の前で一悶着あったゼルート達は無事ゴージャルの中に入ることが出来、その騒がしさに圧倒されていた。


「・・・・・・流石、王国内で一番の娯楽の都市と言われているだけのことはあるわね」


「アレナの言う通りだな。門の外から出も声が聞こえていたけど、中に入るとより声が……正直うるさい」


「ゼルートに同意だ。賑わっている事は良いことなのだろうが、少々うるさいな」


街の喧騒がルウナの耳には少し響くため、耳を折りたたんで聞こえる音を小さくしようと対策を取る。


「さて、とりあえず朝のうちに宿を取ってしまおうか」


「そうした方が良さそうね。これだけ騒がしいと夜にはどこもいっぱいいっぱいになってるでしょうし」


アレナの言う事は正しく、基本的にここまでに賑わっている都市では早い段階で良質な宿は部屋が全て埋まってしまう。

全ての宿の部屋が埋まってしまう訳では無いが、ゼルート達が望むような部屋は夕方前には埋まってしまうので、行動は早いことにこしたことはない。


屋台も多く出ているので、そこで適当に軽食を食べたゼルートは店主にお薦めの宿を尋ね、その場所に早速向かう。


「ゼルート、オークションに参加するのは良いけど、それまではどうやって過ごすの?」


「ん~~~……王都で一番の娯楽都市なんだから、カジノだってあるんだろ」


姉であるレイリアにカジノはまだ早いと言われたゼルートだが、前世でもまだ未成年だったので賭け事には興味津々だった。


「ゼルートの目がそんなにキラキラしてるの初めて見たかもしれない」


「確かに。ゼルートはギャンブルに興味があったのか?」


「そこそこね。それに軍資金だってたくさんあるんだし」


とは言っても、そこまでギャンブルに金を突っ込もうとは考えていない。

一般人はもしギャンブルで痛手を喰らってしまったら、更に大金を賭けて取り戻そうとする人が多い。


しかしそれは完全に悪手であり、更に自分の首を絞めることになる。


ギャンブルで有名なルーレットがある。

もっとも簡単な賭け方は当たれば賭けたお金が二倍になって帰ってくる赤と黒に賭ける事。


確率は単純で二分の一。

それを順に繰り返していけば赤か黒が出続ける確率は四分の一、八分の一、十六分の一、三十二分の一、六十四分の一とどんどん被る確率は下がっていく。


なので倍々で賭けていけばいずれは勝てる・・・・・・そう思う者が大多数だろう。


ただ、実際にそれが確実という訳でも無く、十回以上赤か黒が出る場合も平気である。

十回黒か赤が出続ける確率は千二十四分の一。


そんな連続で同じ数が出る訳無いと思うかもしれないが、それが現実で起こりうる。

そして赤と黒の連続の中に人によっては邪魔でしょうがないゼロという緑のマスが存在する。


赤と黒、どちらにも属さないため、当然賭け金は全てカジノ側に取られてしまう。

そんな一度ハマったら抜け出せない様な蟻地獄なギャンブルだが、考え方を考えれば十回連続で赤や黒が出てもしょうがないと言える。


だって、赤黒で賭けるなら毎回二分の一の確率で勝負しているんだから、その五十パーセントが毎回当たってもそれはそこまで珍しいとも言えない。


「確かに、ゼルートの懐を考えれば常人が卒倒するほど暖かいものね」


「そういうことだ。まっ、別に俺はカジノで稼ごうとは思って無いからそんなに大金を賭けるつもりは無いんだけどな」


「……でも、やっぱり負けたく無いって気持ちもあるんでしょ」


「そりゃそうでしょう。勝負ってのは勝たなきゃ面白く無いんだし。だから、こういった場ではラームの力が凄い役立つんだよ」


『へっ? 僕の力が???』


いきなり話を振られたラームはどう返して良いのか全く分からず、アレナ達もなぜラームの力が役立つのか理解出来ていなかった。

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