少年期[479]最後の内容だけ聞けば自慢話
「って事が今日あったんだ」
「それは……ルウナも罪作りな女ね」
「? 別に私は法を犯していないと思うんだが」
「そういう意味じゃ無いの」
今日の冒険をゼルートが眠りに入った後、食堂で酒を飲みながらルウナはアレナに話した。
(珍しく他の冒険者と依頼を受けたって言うからどんな内容なのか気になったけど、最後の部分だけ聞くと自身のモテ話の様に聞こえるのよね)
勿論アレナはルウナがそんなつもりで話している訳では無い事ぐらい分かっている。
しかし他の女性冒険者が聞けば自分がどれだけモテるかを自慢しているようにしか受け止められない者もいる。
「ルウナ、その話の最後の部分はあまり他の同業者に話さない方が良いね」
「最後の方と言うと……ロークが私にどんな異性が好みかと訊いてきた事か?」
「そう、それよ。話を聞いた相手によっては空気が悪くなるかもしれないから」
「そうなのか、それは良くないな。分かった、あまり他の同業者には話さないでおこう」
どう面倒になるのかあまり解っていないルウナだが、アレナの表情を見る限り本当に良くないのだろうと分かり、むやみやたらに今日の出来事を話さないと決めた。
(途中までは普通に良い冒険譚だったのよね。しっかりと山もあったし)
クイーンエレクトビーが自分の子供を食べて一撃の威力を上げてきたのはアレナも少し驚いた。
その一撃が四人の遠距離と同等の威力があり、完全に相殺したという内容もルウナの炎狼拳を知っているアレナとしては十分に驚きの内容だった。
「それで、また一緒に依頼を受けましょう的な事を言われたの?」
「僕が今よりもっと強くなったら、また一緒に依頼を受けてくださいと言われた」
「そ、そうそれは……まぁ良いか」
(それって、恋愛思考で考えれば自分がもっとイイ男になったらデートしてくださいって言ってるような感じじゃないの!!?? もう完全にそのロークって子はルウナに恋してるわね)
アレナの考えは正しく、ロークは完全にルウナに恋してしまっている。
ただ、その思いがロークの今の環境を壊すような事にはなっていない。
他のパーティーメンバーが自身のパーティーメンバーに恋することは悪いと思っていない。
しかし自分達はゼルートに人生を助けられた身。
果たしてゼルートの許可無しに恋をすることが出来るのか?
(別に大して気にしなさそうだけど、ゼルートに奴隷という立場から救い上げて貰ったんだからゼルートが冒険者としての人生に幕を下ろすまでは付き合うのが筋ってものよね)
例え自身に好きな人が出来たとしても、その考えだけは貫こうとアレナは考えている。
しかし一つだけ疑問、というよりは予想出来ない問題が一つだけあった。
(ゼルートって、何歳まで冒険者生活を続けるのかしら)
五十を超えても冒険者としての人生を過ごしている者も稀にだがいる。
長寿の種族ならば更に長い間冒険者として活動するだろう。
(ゼルートも人族なんだから四十を超えれば自然と気力を下がっていくと思うんだけど……何故か冒険者を引退してるイメージが思い浮かばないのよねぇ~~)
何歳になっても圧倒的な強さで魔物をバッタバッタと薙ぎ倒しているゼルートの姿ならパッと浮かんでしまう。
「それで、見込みは有りそうな子なの?」
「・・・・・・どうだろう? 現状ではそこまで強くなる姿が見えない。まぁ、年齢はゼルートとそこまで変わらないだろうし、まだまだ強くなる余地はあるんじゃないか」
「そ、そうなのね」
(絶対にそのロークって興味無い感じね。その子の気持ちを考えればちょっと可哀そうに思うけど、直ぐ傍に圧倒的な存在がいれば、凡な存在に関心は持たないものか)
「それに、今はあまり恋愛どうこうというのはやはり考えられない。ゼルートと一緒に居れば退屈しない日々が続きそうだからな」
「ふふふ、そうね。それに関しては同感ね」
今までの出来事を考えれば、恋愛なんてしてる暇は無いだろう。
アレナもルウナと同じ考えに至り、グラスに入ったワインを一気に煽った。
(ただ、ゼルートに好きな人が出来たらそれはそれでどうなるのかしら?)
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます