少年期[463]実は三十代?

「……もしかしてだけど、恋愛絡みか?」


「よく分かったな。もしかしてそういった話を聞いたか」


「いいや、初めて聞いた。でも、大抵の面倒事て人間関係か借金とかが関わってるって個人的に思ってるんだ」


「ゼルート、お前……もしてかして実は三十を過ぎたおっさんなのか?」


「そんな訳無いだろ」


(前世の年齢を加えても三十は超えてないっつーーの)


しかし思考に関しては現在の年齢よりはるかに上なので、少し考えれば分からなくもない内容だった。


「錬金術師の方が男にしろ女にしろ、大概の奴らはほぼほぼ恋愛経験の無い奴なんだよ。だからコロった落ちちまう」


「それが本気なら……冒険者の方がどれだけ本気なのかにもよるが、相手の錬金術師は前を向いて生きていけるだろう」


「でも相手の冒険者がそうでなく遊びで、利己的な考えて行動していたら最低の屑ね、男にしろ女にしろ。そういった関係がバレて、ポーションや魔道具の類を融通してるなんて知られてしまったら完全にその街には居られなくなるでしょうね」


恋仲の関係であるとバレた時点で屑な冒険者に見られたのなら、あることないこと言いふらされてしまう。

その冒険者が信用があってギルドから評価されている者なら腐って下しか見ていない落ちぶれ野郎の戯言だと思われるが、そうでない者ならば……最悪自殺してしまう可能性だってある。


「それは……でも、それには店を構えている錬金術師ってのが付くんじゃないか?」


「お前本当に良く解ってるな。師匠の元で修行している弟子との関係とかなら……特に問題は無いと思うぞ」


「その間から察するに、面倒な事件に発展しないとは言い切れないって訳だ。本当に面倒だな、人間の欲ってのは」


食欲、睡眠欲、性欲。この三つが人間の三大欲求。

これから満たしていれば大概の人間は生きていけるが、中にはその三つと同等に大きい欲求を持っている者は少なくない。


面倒事を避けたがる傾向にあるゼルートであっても、強敵との戦闘になれば本人の意識とは無意識に口端が上がってしまう。

戦闘欲がルウナやゲイル達と同じく存在する。


その戦闘欲に関しても種類があり、ゼルート達が持つ戦闘欲に関しては真っ当なものだが、中には強い者と戦うためならば容易に道を踏み外すものだっている。


「育つ家庭や環境、そいつの過去によっても心が満たされる基準ってのは変わってくるからな」


「一概に歳だけ食ったベテランが悪いとは言わないが、そのベテランの心の持ちようで被害に合う新人は少なくなる」


「でも、それはそのベテラン冒険者のプライド的に結構無理だろ」


「・・・・・・やっぱマジで三十歳どころか四十歳越えか?」


「十二だって言ってるだろ」


「ゼルートを普通の子供だと思わない方が良いですよ。実力も頭の中身も」


「おいアレナ、俺を変人みたいに言うなよ」


実力に関しては変人どころか変態的な強さだ。

貴族や大商人であっても容赦無く潰すと聞けば、心も変人で変態だと思われるかもしれない。


「ベテランの冒険者だけじゃなく、くだらないプライドを持っている奴は多い。家柄だけは御立派な貴族とかな」


「ぜ、ゼルート。それは流石に真っ向から喧嘩売り過ぎじゃないか?」


「事実だろ。貴族が魔法が得意で武器の扱いも長けているのは才能ある血を重ねてきて、それを生かす英才教育を本人はタダで受けられるからだ。多少強い程度で威張ってるガキ共の気が知れないな」


「……確かに、その考えには賛同だ。ぶっちゃけ才能ある学生でもCランクの冒険者なら結構余裕で倒せるだろうしな」


本物の意味で怪物と呼べる才能を持つ物か、飛び抜けた才能を持ちながらも自ら努力を積もうとする学生以外に確かな実力と、ある程度の修羅場を潜り抜けた冒険者が負ける事は基本的に無い。


「もしかしてだけど、ゼルートは貴族の学生と戦ったことがあるのかしら?」


「直接戦った訳では無いけど、間接的には戦ったと言えるのかな。まっ、なんにせよ俺や仲間たちを狙おうなんて思う馬鹿もその一件で結構減ったと思うんだけどな」


「そりゃまと気になる話だな。詳しく聞かせてくれよ」


明らかにあまり表沙汰には出来ないような内容だと解り、興味を持つ冒険者達にゼルートは仕掛けてきた貴族に対する返しだけを話した。


その話を聞いた三人は因果応報だと思い、高らかに笑ってもう一度グラスを軽くぶつけて酒を煽った。

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