少年期[439]一人と戦っている気がしない

両足が全て無くなったことで流石のサイクロプスも絶叫を上げる。

その巨体が地面を転がる事で一帯に揺れが起きるが、そんな事は関係ないルウナは一切攻撃の手を緩めない。


「確か目を狙えば良いんだったな」


意識が切断された足に向いている隙に、ルウナは風の双魔剣を使ってサイクロプス達の眼をすべて斬り裂いて行く。

急所を完全に潰されたサイクロプスは先程よりも更に地面をゴロゴロと転がった後、結局はルウナに何も出来ず息絶えた。


「ふむ、思ったより強くは無かったな。というより、眼が弱点だというのが攻めやすいポイントだったのかもしれないな」


自身の急所が目だと自覚しているサイクロプスは目に対しての攻撃は敏感であり、必ず片腕が両腕でガードする。

しかしそうなるとサイクロプスの態勢に隙が容易に生まれてしまう。


スタミナはあり、多少の傷は直ぐに治ってしまう回復力はあれど、失った血までは取り戻せない。

なので貧血状態を起こせば大きな隙は生まれ、そこで目を狙って良し。

目では無く心臓を貫いても良しという、討伐にそこそこ時間が掛かる魔物だが一対多数ならば比較的倒しやすいと冒険者に思われているCランクの魔物。


だが本来サイクロプスが複数いれば、いくら動く速度がCランクの中でも遅い方とはいえ、油断し過ぎれば攻撃を貰ってしまう。

そしてその威力はタンクの役割を担っている冒険者でも受け方を間違えれば吹き飛ばされてしまう。


なので決して弱い訳では無いのだが、やはり実力があって特に速さに特化しているルウナには強い魔物には感じられなかった。


(こいつよりダンジョン内で戦ったロックパンサー? の方が強かったな。まぁ、戦いには相性というものがあるから一概にこいつが弱いとは言えないだろうが、私には少し物足りなかったな)


一先ず自身のメインは終わり、後方の魔物はどうなっているのかと後ろを振り向くと、そこにはまさに血の海と呼べる光景が広がっていた。


「うむ、流石ラームだな。もしかしたらゼルート以上に集団戦は得意かもしれないな」


現在も戦っている最中だが、多種多様な攻撃を繰り出して魔物達を殲滅している。


強奪。この二つによりラームは延々と戦い続けることが可能。

相手から魔力と体力を奪う事が出来るこのスキル。

もちろん無条件で発動できる訳では無いが、それで超有能なスキルに変わりない。


そして吸収。これは自身が倒した魔物や人を飲み込む事でその姿を真似る事が出来る。

吸収した相手のレベルを真似る事は出来ないが質量は本物と同じであり、身体能力はラームのレベルに比例するので、寧ろ吸収した相手よりも身体能力が高い場合が殆ど。


二つのスキルを上手く使い、臨機応変に戦いを進めている。


「あれは一人の相手と戦っている気がしないな」


戦場に戻ってルウナも戦い続けながらちらちらとラームの戦いぶりを見るが、攻撃手段があまりにも多いので敵対している魔物達もどう攻めて良いのか悩んでいるように見えた。


(スライムが武器を扱うってどういう事だっ!! ってツッコみたくなるが、あんなすがたを見せられたら納得するしかない)


人型の魔物の中には長剣や大剣に槍や斧を扱う個体もいる。

そんな魔物から殺して奪った武器を自由自在に扱い、体を貫き斬り裂き葬り去る。


そして中級程度の魔法ならば詠唱無しで発動し、遠距離の攻撃にも即座に対応する。


(正直私が加勢する必要は無かったかもしれないな)


ルウナの魔物を倒す即でも異常といえば異常なのだが、ラームが魔物を倒す速度は圧倒的なまでに速すぎる。

ただ、討伐数が二百を越えたところで本命の魔物が姿を現した。

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