少年期[401]何時か自分達が
「二日後に王城へ来て欲しいと。そしてゆっくりとお茶を飲みながら話したい」
ルミイルからの手紙を読み終えたゼルートは簡潔に内容をまとめる。
「これはあれだよな・・・・・・俺に拒否権は無い感じか? いや、兄さんと姉さんと同じ学校に通ってるんだから手紙を送ればやり取りは出来るだろうが」
ゼルートとしては了承の返事の為だけに態々手紙を書くのは面倒に思えたが、返事を返さなければルミイルに失礼だと思い、椅子に座って手紙の返事を書き始める。
「そこまで堅苦しい事を書く必要ないよな。当たり障りのない言葉と了承の返事を書けばそれでオッケー・・・・・・な筈」
そこまで手紙を書く事が無いゼルートは相手が相手なだけあって、始めはペンを持つ手が震えていた。
「よし。こんなもんだな」
十分程で内容を考え、出来る限り字を綺麗に書いて仕上がった手紙を使用人に頼んで学園に届けて貰う様に頼む。
「・・・・・・正装、礼服? みたいなのを着てい行った方が良いよな」
流石に王城へ行くのに冒険者服や普段着で行くのは不味いと思ったゼルートは明日の予定を直ぐに決めた。
そして一人大浴場でのんびりと湯に浸かるゼルート。
「はぁ~~~~・・・・・・良い湯だなぁ。爺臭いかもしれないけど、一日の疲れが取れる様なこの感じがたまらん」
前世の頃は風呂に入ればさっぱりはするが、疲れが取れるという感覚は無かった。
しかし前世よりも歩いて走って戦う時間が多くなった現在は風呂のありがたみが良く解る。
「俺が礼服を買うんだったらアレナやルウナの礼服も当然買わないとだよな。ただ王都のどこにそういった服専門の店があるのか全く分からないからな。後でワッシュに訊いてみるか」
ゼルートから見てワッシュは王都の事なら何でも知っているように見えた。
そして風呂上がりにワッシュへどこか良い店は無いかと訊いたゼルート。
それにワッシュはまずどれぐらいの予算があるのか訊き返した。
「いや、特にそこら辺は考えていない」
金は大量にあるからそこら辺は気にしてなくても良いぞと解釈したワッシュはその仲間の分も買うというのに、なんという太っ腹さだと感嘆していた。
購入金額に上限が無いと解り、ワッシュはある程度の有名店で服に使われている材質がゼルートに向いている店を紹介した。
翌日、三人はワッシュに紹介された店へと向かう。
「確かにいつも来ている服とか冒険の時に着ている物じゃなくてちゃんとした礼服の方が良いでしょうね」
「というかゼルート、それぐらい自分の分は払うぞ。普段からお前に小遣いを貰っているんだし」
三人は基本的の他の冒険者と比べて依頼を受ける頻度が少ない。
なので報酬を三等分するだけでは懐にあまりたまらない。そして盗賊団を潰して得た金はゼルートのアイテムバッグの中に入っている。
なのでゼルートはアレナとルウナに対して月一、稀に気まぐれに小遣いを渡している。高位の爵位を持つ貴族の子供並みに貰っている。
なので礼服に関しては自身のこれからに必要な物でもあるので、自腹で払おうと思っている。
「別に良いって。元々俺の過去の関係で明日御大層な場所に行くんだ。それに必要な物だから俺が払う」
だが、ゼルートとしては本当に冒険者仲間と遊ぶためや、自身の服などを買う為に使って欲しい。
なので今回は自分が払うと断言する。
これはもう無理だなと解った二人は素直に買って貰う事にしたが、何時かゼルートに二人で何かプレゼントしようと決めた。
「ここがワッシュが言っていた店だな」
目的地の店に辿り着くと、アレナは目の前の店がどういった店なのか知っており、納得したような表情をする。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます