少年期[392]選択肢が一つ減った
「私の名前はシーナだ。強獣の精鋭というクランに所属している」
「知っているとは思うけど、俺の名前はゼルートだ。クランには所属していない」
リングに上がった二人をお互いに手を伸ばして握手をする。
手が触れた瞬間にシーナはゼルートの手を力一杯握る!!! なんて事は無かったが、握手をした瞬間にシーナの表情が少し変わる。
「オークキング殺しのゼルート、という名に劣りは無いようだな」
「その二つのは初めて聞いたな。だが、オークキングを殺したのは一回だけだからその二つ名は止めてくれ」
一般的に一度でも大物の魔物を殺せば、~~~殺しの~~~といった感じの二つ名がつく場合はある。
だが、ゼルート的には一度しか倒していないので却下したい二つ名だった。
「そうか? 私達のランクで二つ名が定着すれば大抵の者は喜ぶのだがな」
「なら俺はその大抵から外れた冒険者って事だ。まぁ、そういう話は戦いが終わってからにしようぜ」
「ふふ、そうだな。観客達も私達の試合を速く見たいと思っているだろう」
二人の会話が終わり、距離を取って立ち止まったところで音声機の魔道具による実況が入る。
『さぁさぁさぁさぁさぁ!!! 皆さん、間もなく始まります!!!! 私達がこの決闘の出来事を知ってから待ちに待ち続けた戦いがようやく始まります!!! まずはレイリア・ゲインルートさんの代理人として戦うDランク冒険者を紹介します』
(おいおい、なんで速攻で戦いを終わらせたら駄目みたいな事を言うんだよ。速攻で勝負を終わらすって選択肢が消えちまったじゃねぇーーか)
『自分を含め、貴族の子息令嬢が五歳になる年に王都で開かれるパーティー!! そこで今から八年前にとんでもない事件が起きたああああ!!! お互いの気持ちとプライドがぶつかり合った結果、お互いの家の全財産を賭けた三対一の変則型の決闘!!! 負ければ文字通り人生が終わる戦い。その戦いで圧倒的なまでの実力差を見せつけて勝利!!!! そしてまだ冒険者になって一年も経っていないにかかわらず、オークキングを倒す実力を持つ超超超スーーーーパーーーールーーーキーーーーーー・・・・・・ゼルート・ゲインルートだあああああああああーーーーーー!!!!!!』
実況の紹介に、生徒達は今一度大歓声を上げて盛り上がる。
二、三年生は代が違う為に後半の部分は全て信用する事が出来ないが、前半に関しては自分達の同級生が似たような事件の中心人物なので、その二人の弟の実力が本物である事だけは理解出来た。
そして一年生は全員その戦いを見ていたので、後半の部分は殆どの生徒が噂が本当だと思っていた。
『そしてセーコ・ルーギスの代理人、最近の実績ではまだDランクに上がって一年しか経っていないのにもかかわらず、フレイムモンキーの群れを全滅、オークの群れを全滅、コボルトの群れを全滅。全滅全滅全滅!!! 本来なら冒険者にとってソロの状態で魔物の群れに遭遇するのは不幸中の不幸。だが、この冒険者はそれを全て跳ね返し、全滅させた!!!! 今日もその槍で獲物を貫くのか、クラン強獣の精鋭に所属、シーーーーーナだああああああーーーーーーーーッッッ!!!!!!』
そして生徒からもう一度大きな、特に男子生徒からの声援が上がる。
そんな男子生徒達に冷ややかな目を向ける女子生徒。
しかし女性らしさを残しながらも見る者に強さを見せつけるシーナに女性生徒達は惹かれる。
『この二人が今日、今から戦う!!!! みんな、最後まで目を閉じるなよ!!!!』
実況の言葉が終わると同時に今回の決闘の審判がリングに上がり、二人が構え終えている事を確認し・・・・・・振り上げた手を下ろして開始の合図を告げる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます