少年期[390]まさかの差出人
クライレットとレイリアにジェット達との夕食が終わってからゼルート達は兄姉達と別れ、屋敷へと戻った。
そして屋敷へと戻ると、ゼルートはワッシュから一通の手紙を渡される。
その場では差出人の名前は確認しなかったが、それでも封筒からして自分に手紙を書いた人物が貴族だと言う事は解った。
まずは風呂。
一日王都を歩いて溜まった疲れを癒すために風呂へ入る。だが半分は自分宛てに届いた一通の手紙に対する現実逃避だった。
「はぁーーーー・・・・・・マジで誰だ? 俺に貴族の知り合いなんてそうそういないんだが。もしかしてセフィーレさんか? それなら解らなくもないんだが」
部屋に入りベッドへダイブしたゼルートはここでようやく差出人の名前を確認する。
「ライザールって・・・・・・お、おおおおおおお王族じゃねぇーーかっ!!!!????」
確かに王族との面識はある。
しかしあまりにも突然の手紙にゼルートは動揺を隠せない。
さっきまで面倒と感じながらもぞんざいに手紙を扱っていた手がブルブルと生まれたての小鹿の様に震えている。
「る、ルミイルってもしかして王都のパーティーで俺に話しかけて来た三女の王女様か。な、なんで俺に手紙なんか送って来たんだ?」
過去に話した事はあるが、三バカ貴族の愚息が絡んできたのでそこまで長く話した訳では無い。
そしてそれ以降に会話した事も会った事も無い。
「と、とりあえず読むか」
おそるおそるゼルートは手紙の封を開け、手紙を取り出して読み始める。
最初はガチガチに緊張して呼んでいたゼルートだが、内容が政治に絡むような物では無いと解り、木が少しずつ緩み始める。
「纏めると決闘が終わった後、会って話をしませんかって内容か。というか、俺がレイリア姉さんの決闘の代理人って事は結構広まってるのか?」
文を見る限り、どうやらルミイルはレイリアとクライレットと同じ学園に入学している。
なので知っていても可笑しくは無いと判断できるが、そこまで広がっていると決闘当日はもしかしてかなりの観客がいるのではとゼルートは考えた。
「というか、観客に第三王女がいるって時点で相手の坊ちゃん側も相当負けられないプレッシャーが掛かっているのかもな。無いとは思うが、反則を使ってくる事が無いとは言えない・・・・・・と思うが、それは流石に無理な話か」
Dランクだと言いながらCランクやBランクの冒険者を出してくるかも一瞬だけゼルートは思ったが、流石にそんな事をすればバレる可能性はかなり高い。
そして嘘がバレれば伯爵家の坊ちゃんが非難されるのは当然の結果。
その為、決闘が終わった後に自分に暗殺者を仕向ける可能性はあるかもしれないが、決闘に小細工はしない。
それがゼルートの考えた結論だった。
「後数日で決闘か・・・・・・なんか、こうした観客大勢いる中でしっかりとした感じの決闘はあの時以来かもな」
三対一で圧倒的な不利な状況だが、素の力が違い過ぎる為残酷なまでの差で勝利を収めた変則的な決闘。
今回は一対一の真面な決闘だが、今後の冒険者生活に多少は関わるかもしれない。
そこがセルートが面倒だと思う原因の一つ。
「相手のクランが大きければ大きい程、後々何かが原因でぶつかり合った時が厄介そうだが、もともとそうならなければ良い話。って言いたいんだが、規模が大きいクランの幹部とかトップの名前や見た目は覚えられそうだが、末端の冒険者までは覚えられない」
レストランで赤竜の宴に絡まれたとき、そもそもゼルートは赤竜の宴というクランを知らなかったが、話かて来た者達がクランに所属ている冒険者ということすら分らなかった。
「冒険者として面倒事を避けたかったら、そこら辺も覚えておいた方が良さそうだな、マジで」
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