少年期[335]どちらでもない

「そういえば、お二人のどちらかがゼルート君とお付き合いしてたりするんですか?」


ヒルナはニヤニヤとした好奇心に満ちた表情でアレナとルウナに尋ねた。

その問いにシェナン年齢相応にそういった話題に興味がある為、少しワクワクした顔になっている。

ただ、ゼルートに少し気があるミルシェ結果がどうなのか少しハラハラした内心で二人の回答を待っている。


ヒルナからの突然の問いに二人はキョトンとした表情になり、顔を見合わせた二人は吹き出して笑い始めた。


「ふっふっふ、あぁーーーーー確かにそう見えるのかもしれないわね。ただ、私はゼルートと付き合っていないわよ」


「アレナに同じく、私もゼルートとは付き合っていないぞ」


「えぇーーーー、そうなんですか?」


当てが外れたと思ったヒルナの表情は露骨に残念なものに変わる。

シェナンもどちらかがゼルートと付き合っているのではと少し期待していたので、結果どちらとも付き合っていないと分ると肩を落として「そうなんですか」と残念そうに小さく呟いた。


そしてゼルートに少し気があるミルシェはゼルートがアレナとルウナのどちらとも付き合ってないと、一番の望む結果が分りホッとしていた。


「まぁ・・・・・・ゼルートと一緒にいると色々と飽きないでしょうから出来れば一緒に居たいと思わなくはないかな」


「一緒に居ると飽きない。そこは物凄く同感出来る。ゼルートの事が好きかどうかと聞かれれば普通に好きだからな。ただ・・・・・・ゼルートの場合は正室候補がいるからな」


正室、冒険者であれば殆ど訊く事が無い単語に女子三人は興味津々になる。


「それってもしかしなくともあの人の事なのルウナ?」


「もしかしなくともあの人だ。私は十分に可能性があると思ってるぞ。もしゼルートがその人とくっつけば私は別に側室でも十分だ」


「確かにあの方が正室なら私も側室で全く文句は無いわね。けれどあの人とゼルートが一緒になるには中々の壁がある筈よ」


二人の会話からミルシェ達はアレナとルウナが言うあの人が貴族なのではと推測出来た。


「何を言っているんだアレナ。ゼルートが本気になればそれぐらいの壁は簡単にぶち壊すはずだ」


「・・・・・・そうね、確かにそうかもしれない。でもそれって物理的にじゃないの?」


「いや、ゼルートも一応貴族の子息だ。最初は話し合いや面倒な交渉等で話を進めようとするだろう。ただ横から面倒な輩が来たときは力尽くで排除しそうだがな」


「頭が痛くなる光景ね」


「え!? ちょ、ちょちょちょちょっと待ってください、ゼルート君って貴族の子供なんですか!!??」


両親から事情を聴いていてゼルートが貴族の子息だと知っていたミルシェは驚いていなかったが、ヒルナとシェナンはスイーツを食べる手を完全に止めて驚いていた。


「そうよ。外見からしてあまりそうは見えないけど」


「言葉遣いも全くそうは見えないがな。とはいっても、ゼルートの父親は男爵だが元は冒険者だ。その辺りをゼルートは全く気にしないぞ」


「そ、そうなのですか。しかし・・・・・・冒険者から貴族になられるとは、ゼルート君の両親は高ランク冒険者だったのですね」


「らしいな。ただ、貴族になった今でも訓練を怠っていない様だから現役当時と同等か、それ以上の実力かもしれないな」


まだ会った事がゼルートの従魔、オーガの亜種であるブラットオーガ。

そんな魔物と一緒に訓練を続ける事が出来れば必然的に技術的な面は上がるだろうとルウナは思っていた。


「あ、あの! お二人が言うあの人とはどういう人なのですか」


アレナとルウナの口から出たあの人という単語が気になったミルシェは無理矢理話を戻した。

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