少年期[310]悪い意味での狩人

「盗賊が魔物をテイムねぇ・・・・・・過去にそういった例はあるのかアレナ?」


「ええ、そこまで多くは無いけど幾つか実例はあったわよ。どれも盗賊団がテイムしていた魔物はランクがCよりは上だったかしら。私が知らないだけで他にもあったのかもしれないけど、普通の冒険者からすれば厄介でしかない魔物が殆どよ」


「・・・・・・アレナ、盗賊団が魔物をテイムしているだけでそこまで強さが変わるのか? 勿論盗賊団が常に森の中などで戦っているからそういった環境での戦い方は向こうが上だというのも解る。しかしそれ程危険視するようには思えない」


討伐対象に元々いた盗賊の中に魔物が混ざっただけ。それがルウナの感想だった。

そんなルウナの考えにアレナは思わず苦笑いになって答える。


「それ程危険視しない理由は私達が強いからよ。元は私達三人だったところにゼルートの従魔でありゲイルとラルにラームが戻って来た事で、並大抵の敵に負ける可能性は無くなったと言える」


「まぁ・・・・・・確かに俺らだからこそ、そういった考えになるんだろうな」


「そうよ。後、盗賊がテイムした魔物の主食は何になると思う」


言葉の意味をしっかりと考えなかったゼルートは即答する。


「普通に動物や魔物の肉や内臓とかじゃないのか?」


「間違ってはいないけど、半分正解ってところね。もう半分は人の肉よ。テイムされた魔物達も最初は人の肉にそこまで興味は無かった筈なのよ。ただ、それを一定のペースで食べる事で味を覚えてしまう。覚えてしまった魔物は正直気味が悪かったわ」


過去に冒険者として活動していた時に対峙した魔物を思い出したアレナは目を細め、眉間に皺を寄せる。

その様子だけで人の味を覚えてしまった魔物がどれだけ不愉快なのか二人は感じ取ってしまった。


「対象の人、獣人、エルフ、ドワーフ等あが弱ければ自然と戦う眼では無く、狩りの眼へと変わるかもしれない。でも私が対峙した魔物は、私とそこまでの差は無かった筈。でも・・・・・・そいつの眼は完全に狩人の眼だった。悪い意味でのね」


「・・・・・・そうか。てことは今回のサーベルタイガーももしかしたらそうなっている可能性はあるって訳だな」


「うむ・・・・・・ただそれならば俄然、私達の方が有利なのではないか?」


人の肉の味を覚えてしまい、悪い意味で狩人の眼をする魔物と対峙する事に関して、それでもルウナは全く危険視していなかった。


決して鈍い訳では無いルウナが何故これほど自身があるのが疑問に思ったゼルートだが、疑問は直ぐに解消された。


「悪い意味での狩人の眼か。それならルウナの言う通り俺達が有利な事に変わりはないか。というか、アレナはそれを元々解っていたんじゃないのか?」


「当たり前でしょ。一度そんな嫌悪感しか感じない相手と対峙すれば、嫌でも対策を練るわよ」


「そ、そうか。取りあえず対処法は解ったんだ。明日ゲイル達にそれを伝えておこう」


「それは良いのだが、ゲイル達の要望には当てはまらない戦い方では無いのか?」


悪い意味で狩人の眼をしている魔物に関して有効な攻撃手段。

しかしそれはルウナの言う通り、ゲイル達が望む戦いとは別の物だった。


「だろうな。でもそんな奴と対峙してもゲイル達は満足できない筈だ。相手がBランクの魔物ならまだしも、今回はCランクだ。そうい眼をしている奴じゃ、一矢報いる事も出来ないだろうな」


まだ一度もそういった類の魔物に遭遇した事が無いゼルートだが、そんな魔物と対峙したゲイルにラルやラームが満足する事は無いと解っていた。

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