「さてと・・・・・・どの依頼を受けようか」

「やっぱり討伐系の依頼が一番じゃないか？」

「別に採集系でも良いと思うわよ。ただしそこら辺にあるような物じゃなくて珍しい物の方が良いと思うけど」

アレナとルウナの意見は違う様にも思えるが、根っこの部分は簡単な依頼じゃない物と一緒。

それはゼルートとしても思う事なので、ボードに残っている依頼書をざっと見渡す。

（取りあえず俺はDランクだからCランク以上の依頼は受けられないんだよなぁ・・・・・・というかBやAランクの依頼ってあるんだな。・・・・・・一応情報は頭に入れておくか)

ランクがDの冒険者がAランクの依頼を受ける事は出来ない。

偶にそんな事をしようと受付嬢に無理を言う冒険者もいるが、相手がどんなに怖く感じる冒険者であっても実力が不相応だと判断すれば依頼を受けさせない。

大概そういった問題を起こす冒険者その後、冒険者ギルドが管理する冒険者ブラックリストに名前が記される。

ランクDだと、ランクBやAの依頼を受ける事は出来ない。だがランクBやAモンスター戦ってはいけないという訳では無い。そもそもそんな命知らずな行動を起こす低ランクの冒険者は少ない。

だがその中でもゼルートは例外に当てはまり、自分達の実力があれば高ランクモンスターであろうと倒せる自信がある。

なので依頼の情報があるだけでも今後の予定が埋まっていく。

(まぁ、プライベートでモンスターを倒しに行く計画は置いておこう。一先ずDかCランクの依頼で良い依頼は無いかなぁ～～っと・・・・・・・・・・・・おっ、これで良いかな)

ゼルートが選んだのはCランクの依頼書。内容はサーベルタイガーの討伐。

サーベルタイガーか得られる素材、それに報酬もだと思ったゼルートは真っ直ぐその依頼書に手を伸ばす。

「「ん？」」

だがゼルートが依頼書に手を伸ばしたと同時に同業者も依頼書に手を伸ばし、同時に依頼書に触れる事になった。

「・・・・・・ねぇ君。この依頼書に先に触れたのは私だから私に譲ってくれないかしら」

「はぁ？　この依頼書に触れたのは俺が先だから俺が受けるに決まってるだろ」

お互いの視線が交差して火花が散る。

その様子を遠くから見た冒険者達は何かを察したのか、こそこそと動き始める。

「ねぇ君ぃ、この依頼書はCランクの依頼書なの。しかも討伐系の依頼で討伐しなきゃいけないモンスターはサーベルタイガー。みたところ君まだ冒険者に成り立ての新人だよね。だからこの依頼を受けるのは無理なのよ」

喋り方は優しくても、言葉に困っている声には怒りを感じさせる。

ゼルートと対峙する女の冒険者よりランクが低い冒険者達はその圧に緊張していた。

「俺が冒険者に成り立ての新人てのは間違っていない。でもその依頼を受けられないって訳じゃない。ランクがDなら一つ上のCランクの依頼を受ける事も出来る。そんな事も知らないなんてあんたの方が冒険者に成り立てなんじゃないのか？？」

少し無理のある煽り文句だが、冒険者として生活している女の煽り耐性はそう高くは無い。

「そう、でも君は見たところ一人。一人じゃ野営しなければならい依頼を受けられないのは常識。そもそもDランクの子供一人で達成出来る依頼では無いの。せめて私みたいにパーティーを作ってから挑みなさい」

女の冒険者は自分の仲間たちに目を向け、女のパーティーメンバー達はその視線を受けてウンウンと頷く。

だがそれを周囲のゼルートを知っている冒険者達は可哀想な物を見る目を向ける。

「お前らの眼は飾りか。後ろに二人いるだろ。それに表には三体の従魔がいる。計六だ、数としてはお前らよりも多い。だからその手をとっとと離せよルーキー」

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