少年期[268]その言葉だけでは
「えっと、それじゃあ目を瞑って後ろを向いていて貰っても良いですか」
「・・・・・・分かった。ほら、ソブル達も後ろを向いて目を瞑るんだ」
自身がローガスを殺すところを見て欲しくなかったのか、それとも殺す方法が他人には容易に見せる事が出来ない方法なのか。ゼルートの意図は分からなかったがセフィーレ達はゼルートの言う通り後ろを向いて目を瞑った。
「ゼルート、私がやろうか?」
「いや、大丈夫だよルウナ。別に人を殺すのが初めてって訳じゃ無いのはルウナも知っているだろ」
Dランク昇格試験の時にゼルートは多くの盗賊を殺した。
それを見ていた実際に見ていた訳では無いが、ゼルートから香った匂いから人を多くの人を殺したのが分かった。
「俺はこいつに対して良い感情は持っていない。寧ろ悪感情しかない。だから気にする必要は無い。まぁ・・・・・・少し直接俺の手で殺す訳じゃ無いけどな」
「? それはどういう事なのゼルート」
護衛依頼の最中に護衛対象である貴族の従者が死んだ。
ゼルートはある程度貴族としてのプライドを持っている物から嫌われる正確だと理解している。
そういった貴族たちにとって今回の様な出来事をゼルートを・・・・・・その家族を攻める良い材料になりうる場合が無いと言い切れない。
(嘘を見抜くマジックアイテム、そういった道具はある筈だ。セフィーレさんに対して使わなくても、俺に使って来る可能性は十分にある。それを拒否れば疑いが増す。それで起こる被害は父さん達にも及ぶかもしれない)
そこだけは死守せねばならないラインな為、ゼルートはギリギリ躱す事が出来ると考えた方法でローガスを殺す事にした。
ゼルートはアイテムバッグから錬金獣を取り出した。
「・・・・・・・・・・・・なんだこれは」
「ぜ、ゼルート・・・・・・このも、モンスター? は動くのかしら?」
アレナとルウナは驚きを隠せないでいたが、それでもセフィーレ達に聞こえない様に小さな声で話しかける。
「勿論動くさ。こいつは錬金獣・・・・・・モンスターの素材から造り上げたんだ。・・・・・・・・言うならば、俺のオリジナルゴーレムってところか」
「ゼルート、流石にこれをゴーレムと言うには無理があるぞ。ゴーレムの原型がまるでない」
「いや、俺もそこは分かってるよ。だから呼び名は錬金獣にしてるんだ」
ゼルートの造る錬金獣にはカクカクしたフォルムは殆ど無く、ベースは人間に近い。
「これはあなたの指示で動くの?」
「指示をすれば言葉通りに動く。ただ・・・・・・まぁ、この先は言わなくても分かるだろ」
「・・・・・・・・・・・・はぁーーーーー。えぇ。何となく理解出来たわよ。全く・・・・・・戦争の仕組みが変わってしまうじゃない。こんなのが量産されたら」
ゼルートが作り上げた錬金獣の恐ろしさは一部ではあるが知ったアレナは、自身の主の凄さに驚嘆するが同時に頭を抱え込む。
(この人、もう規格外なんて言葉で片付けられないわね。多分、この・・・・・・錬金獣? を造った理由は好奇心と家族を守るためなのでしょうけど・・・・・・こんなのが世に知れてしまったら、ゼルーとがどれだけ強くても強欲な貴族や商人たちはゼルートを捉えようとする筈)
ルウナも王族の娘であったため、直ぐに錬金獣の恐ろしさと有能性を察した。
(まだこの錬金獣の戦いぶりを見ていないから戦力を全て把握していないが、取りあえず強いという事だけは理解出来る。ゼルートの事だ、この錬金獣も見ただけでは分からない隠し玉をいくつか持っているのだろう)
二人が未だに驚きが収まらない中、ゼルートは錬金獣にローガスを殺すように命じた。
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