少年期[248]感じさせられるセンス

ゼルートとルウナにラルがモンスターパーティーを見事無傷で倒し、アホ三人組冒険者に文字通りゼルートが地獄を見せた後に殺した事で、最下層に行くまでの大きな障害は全て取り除かれたとソブル達は思っていた。


ダンジョンは予想外な事が起こるのは当たり前と考えているゼルートでさえ、最下層にあるボス部屋に着くまでに魔物に遭遇し、罠にかかるかもしれない。

それくらいの事は起こるだろうと思っていたが、確かに少し気を抜いていた。


そんなゼルート達へガーゴイルの集団が襲い掛かる。


空中からの襲撃に攻撃を察知するのが少し遅れるが、ゼルートとラルが声を掛ける事で奇襲を喰らわずに済んだ。

相手が翼が生えていて剣と風魔法も使う魔物であり、集団の中には上位種がいるためゼルートはセフィーレ達だけでは荷が重いのでは思い、戦いに参戦しようとしたがセフィーレに止められる。


「ゼルートが私達を心配してくれているのは分かっている。ただ、これぐらいの相手を私達だけで倒す事が出来なければ、ボスの魔物にも勝てないと思ってな。だから手出しは無用だ。必ず勝ってみせる」


確かに自身のボス部屋にいる魔物の予想が正しければ、目の前にいるガーゴイルの集団に勝てなければボスの魔物に勝つ事は出来ない。

強さのベクトルが違うため、一概にどちらの方が強いと断言できないがセフィーレの言う事は間違っていない。


そう思ったゼルートは頷いて返事をし、アレナとルウナと後ろに下がる。

そして手出しは無用だとセフィーレから言われたが、ダンジョン内では何があるか分からない為、ゼルートはアレナとルウナに他の魔物や冒険者達が混ざってこない様に見張ってくれと指示をし、自身は周囲に炎の槍を十数本展開する。


そして戦うこと約二十分・・・・・・勝負はゼルートが助太刀する事無くセフィーレ達が勝利した。

ソブル達は急激にレベルが上がったズレを殆ど修正できており、空を飛ぶ事が出来るというアドバンテージを持つガーゴイルに対して熱くなって魔力を無駄使いする事無く、冷静に対処する。


セフィーレは戦いの時間が過ぎるごとに魔力操作に磨きがかかり、必要な時に必要な分だけ魔力を使う技術が格段に上がっており、その上達速度にゼルートは驚きを隠せなかった。


(まぁ、元からセンスはあると思っていたし、実戦程良い訓練になるものはないから上達が早いのは分かるけど、ちょっと予想外と言うか想定外と言うか・・・・・・兎に角戦闘のセンスは同年代の貴族と比べると頭二つ三つは抜けている筈だ)


ゼルート自身、まだまだセフィーレに負けるとは一切思っていない。切り札・・・・・・というよりは反則技に近い魔装を使えば絶対に負けない。

引き出しの多さも実戦経験の数も自身の方が多いと思っているが、それでも驚かずにはいられない程セフィーレの上達速度は早かった。


(取りあえず、心配は杞憂に終わって良かった。にしても、ローガスまで焦ってガーゴイルに攻撃せずにチャンスを窺うなんて、少しは成長したんだな。完全に俺に絡んでこなくなったし)


確かにローガスの戦い方は対人戦を忘れた訳ではないが、魔物戦を考えた動きに変わってきている。

短い期間の間に多くの魔物と戦ったとはいえ、そこまで直ぐに戦い方を変えられないだろうと思っていたゼルートは良い意味で裏切られた。


これなら依頼が終わるまで特に問題は起こらないだろう、ゼルートはそう考えていた。


しかし、絡む事を止め、睨む事も止めたが、ゼルートに対する嫉妬や妬みが消えた訳では無く、寧ろ着々と溜まってきている。

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